熊本県議会 > 2019-09-12 >
09月12日-05号

  • "憲法解釈"(/)
ツイート シェア
  1. 熊本県議会 2019-09-12
    09月12日-05号


    取得元: 熊本県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-26
    令和元年 9月 定例会               第 5 号               (9月12日)  令和元年   熊本県議会9月定例会会議録     第5号令和元年9月12日(木曜日)  ―――――――――――――――――   議事日程 第5号  令和元年9月12日(木曜日)午前10時開議 第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)  ―――――――――――――――――本日の会議に付した事件 日程第1 一般質問(議案に対する質疑並びに県の一般事務について)    ――――――○――――――出席議員氏名(48人)            前 田 敬 介 君            城 戸   淳 君            本 田 雄 三 君            南 部 隼 平 君            坂 梨 剛 昭 君            荒 川 知 章 君            西 村 尚 武 君            島 田   稔 君            池 永 幸 生 君            竹 﨑 和 虎 君            松 野 明 美 さん            山 本 伸 裕 君            岩 田 智 子 さん            吉 田 孝 平 君            中 村 亮 彦 君            大 平 雄 一 君            髙 島 和 男 君            末 松 直 洋 君            岩 本 浩 治 君            西 山 宗 孝 君            河 津 修 司 君            楠 本 千 秋 君            濱 田 大 造 君            前 田 憲 秀 君            磯 田   毅 君            西   聖 一 君            橋 口 海 平 君            緒 方 勇 二 君            増 永 慎一郎 君            髙 木 健 次 君            髙 野 洋 介 君            内 野 幸 喜 君            山 口   裕 君            早 田 順 一 君            渕 上 陽 一 君            城 下 広 作 君            鎌 田   聡 君            田 代 国 広 君            坂 田 孝 志 君            溝 口 幸 治 君            小早川 宗 弘 君            池 田 和 貴 君            井 手 順 雄 君            吉 永 和 世 君            松 田 三 郎 君            藤 川 隆 夫 君            岩 下 栄 一 君            前 川   收 君欠席議員氏名(1人)            松 村 秀 逸 君  ―――――――――――――――――説明のため出席した者の職氏名     知事     蒲 島 郁 夫 君     副知事    田 嶋   徹 君     副知事    小 野 泰 輔 君     知事公室長  白 石 伸 一 君     総務部長   山 本 倫 彦 君     企画振興部長 山 川 清 徳 君     健康福祉部長 渡 辺 克 淑 君     環境生活部長 田 中 義 人 君     商工観光労働            磯 田   淳 君     部長     農林水産部長 福 島 誠 治 君     土木部長   宮 部 静 夫 君     国際スポーツ            寺 野 愼 吾 君     大会推進部長     会計管理者  瀬 戸 浩 一 君     企業局長   岡 田   浩 君     病院事業            吉 田 勝 也 君     管理者     教育長    古 閑 陽 一 君     警察本部長  小 山   巌 君     人事委員会            本 田 充 郎 君     事務局長     監査委員   濱 田 義 之 君     選挙管理     委員会    松 永 榮 治 君     委員長  ―――――――――――――――――事務局職員出席者     事務局長   吉 永 明 彦     事務局次長            横 井 淳 一     兼総務課長     議事課長   村 田 竜 二     議事課長補佐 下 﨑 浩 一    ――――――○――――――  午前10時開議 ○議長(井手順雄君) これより本日の会議を開きます。    ――――――○―――――― △日程第1 一般質問 ○議長(井手順雄君) 日程に従いまして、日程第1、昨日に引き続き一般質問を行います。 南部隼平君。  〔南部隼平君登壇〕(拍手) ◆(南部隼平君) 皆さん、おはようございます。自由民主党・熊本市第一選挙区選出の南部隼平です。 今回が生まれて初めての質問ですので、大変緊張しております。お聞き苦しい点もあると思いますけれども、ぜひ皆様、子供を見守る親のような優しいまなざしで見守っていただければと思います。 本日、初めての一般質問をさせていただきますが、多くの皆様の支えがあって、この場に立つことができました。この場をかりて、改めて多くの県民の皆様に感謝を申し上げます。この初心を忘れず、若さを生かして元気を奮い、この4年間、県民の皆様のため、全力投球で仕事をしてまいります。 それでは、発言通告に従いまして質問を始めさせていただきます。 本年5月に、平成から令和という新しい時代を迎えました。平成は、失われた30年と言われるように、停滞の時代と言われています。 私は、生まれこそ昭和ですが、人生の大半、この平成の時代を過ごし、かつて日本が右肩上がりだった高度経済成長もバブルも経験したことがありません。 そして、今、日本は、人口減少と急激な高齢化という、いまだかつてない国難に直面しています。この令和の時代は、人口減少との戦いの時代と言っても過言ではありません。 それは熊本県も同様で、国立社会保障・人口問題研究所がまとめた2018年推計、日本の地域別将来推計人口によると、2045年の熊本県の人口は、2015年に比べて約34万人減少し、約145万人になると予測されています。 県内各市町村については、3市町、合志市、大津町、菊陽町を除く全ての市町村において人口が減少し、そのうち50%以上の減少が予測されるのは9つの自治体となっています。さらに、人口が1,000人を割り込むと予測されている自治体も2つあります。 そこで、今回は、人口減少への対策という大きなテーマに関して、幾つか質問をさせていただきます。 まず、1つ目の質問として、熊本市中心市街地グランドデザイン2050についての質問をいたします。 このような人口減少が進む状況下において、熊本商工会議所熊本経済同友会が、熊本地震を契機に熊本市、特に中心市街地の都市構造を改めて見直し、現実に即しながら、中心市街地の発展の可能性を徹底的に追求したものを「熊本市中心市街地グランドデザイン2050 世界に拓く「城下町都市」くまもと」として、2018年1月に発表しました。昨年の1月1日の熊日新聞にも大きく取り上げられましたので、御記憶にある方もいらっしゃると思います。 経済界がこのグランドデザインに取り組んだ背景としては、まず1つに、熊本県や熊本市における人口減少、深刻な人手不足による地域経済の衰退、2つ目に、インバウンドによる交流人口増加への対応、3つ目に、熊本城の甚大な被害や多くの公共施設を含め、大規模改修や建てかえに伴う市街地の将来を展望した再配置の検討など、地震を機に大きく変わり行く熊本市中心市街地における課題に対処する必要があったとのことです。 グランドデザインでは、2050年を目標とする中心市街地のまちづくりの長期ビジョンとその実現に向けた主要施策、さらには、重要な役割を果たすと考えられる戦略プロジェクトなどが提案されており、産学官が一体となってプロジェクトを実現していくシナリオとなっております。 グランドデザインの発表を受け、昨年8月に、県、熊本市、熊本大学、熊本経済同友会熊本商工会議所で構成されるくまもと都市戦略会議が開催されました。会議では、目指すべき姿である「世界に拓く「城下町都市」くまもと」の実現のため、活力と資源を呼び込む観光・交流戦略、イノベーションにより新たな価値を創造する人材育成・定着戦略、成長への環境をつくる都市基盤再生戦略の3つの戦略を柱として、当面10年間に取り組む10のプロジェクトが選定されました。 具体的には、滞在型観光の強化と受け入れ体制整備、若者や意欲的な人材育成、創業支援、熊本城前エリアにおける上質な都市空間の創出など、どれも、熊本市だけではなく、県にとっても重要なプロジェクトであると思います。また、当時、蒲島知事も、中心市街地の成長は、県全域の持続的発展につながるとコメントをされています。 さらに、先月、8月26日に開催されたくまもと都市戦略会議では、熊本市において、中心市街地の老朽化したビルの建てかえなどを促し、熊本地震からの創造的復興を加速するまちなか再生プロジェクトを進めることが決定されました。 このように、熊本市の具体的な取り組みを初めとして、プロジェクトの実現に向けて、産学官が連携してさまざまな取り組みが進められており、非常に期待を持っております。また、熊本市中心市街地が発展することで、県全体にも波及効果をもたらすものと考えています。 そこで、質問いたします。 1点目の質問として、グランドデザインについて、県としてどのようにかかわっていかれるのか、2点目に、グランドデザインの中心的な役割を担うと考えられる熊本市へどのような期待を持っておられるのか、以上2点について、知事にお尋ねします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) グランドデザイン2050は、熊本地震からの創造的復興の取り組みを、将来を見据えた熊本の発展につなげるべきという県経済界を初めとする県民の強い思いの中で構想されたものです。 私は、県都熊本市の発展及び拠点性の向上が、熊本全体の発展を牽引し、九州全体の発展の起爆剤となるものと確信しています。そのような信念のもと、これまでも、九州新幹線全線開業とともに、連続立体交差事業等による熊本都市圏の抜本的な構造改革に取り組み、政令市移行を後押しし、実現してまいりました。 現在、このグランドデザインに基づき、産学官が強力に連携した取り組みを進めておりますが、県としては、次の3点を重点的に、かつ主体的に注力していきます。 まず1点目は、コンセッション方式により新たに生まれ変わる阿蘇くまもと空港についてです。 本年7月から、新たな運営権者である熊本国際空港株式会社が運営をスタートしました。民間のさまざまなノウハウを生かした空港の活性化が大いに期待されます。県としては、この効果を最大化させるため、空港アクセス鉄道の開業を2023年春の新ターミナルビル完成にできるだけ近づけるように、時間的緊迫性を持ってこのプロジェクトを進めてまいります。 2点目は、幹線道路ネットワークの整備促進です。 熊本都市圏部の慢性的な渋滞は、東京、名古屋、大阪の3大都市圏を除く政令市においてワーストワンであり、その解消は急務であります。 国、県、熊本市が連携し、熊本都市圏を環状する東バイパスのみならず、市中心部と九州縦貫自動車道を結ぶ国道3号など主要な都市内道路について、高架化を初め、幅広く検討してまいります。 さらに、国内有数の半導体拠点、熊本都市圏北部地域の産業の道でもある中九州横断道路の熊本―大津間の早期完成に向け、取り組みを加速化してまいります。 3点目は、熊本城とその城下町の復旧、復興です。 私は、これまでも、加藤・細川文化を県民の宝として守り、磨き上げ、後世に残す取り組みを進めてまいりました。 しかしながら、熊本城及びその城下町は、熊本地震により大きく傷つきました。現在、熊本城は、政府や日本財団を初めとする民間の強力な支援により着実に復旧していますが、その城下町である新町・古町地区の由緒ある町並みは失われつつあります。 城下町再生に向けた民間の取り組みを、県民の英知を結集するとともに、県の文化財復興基金などもフル活用し、熊本市とも連携しながら、しっかりと支援してまいります。 次に、熊本市への期待についてお答えします。 いよいよ今週末、桜町再開発ビルが開業し、再来年には新しい熊本駅ビルが開業するなど、熊本市中心部は大きく変わります。政令市である熊本市には、このように充実していく都市機能を生かして、県全体を力強く牽引するエンジンとしての役割を果たしていただくことを期待します。 そして、県としては、さきに述べた3つの重点的取り組みを通じ、熊本都市圏の発展を、県全体、さらには九州全体の発展につなげてまいります。  〔南部隼平君登壇〕 ◆(南部隼平君) グランドデザインへの県のかかわりとして、知事には、重点的な取り組みを3点御答弁いただきました。 その中でも、空港アクセス鉄道に関しては、私の地元である運動公園周辺にも駅ができる予定で、地元としても、大いに期待が高まっています。ぜひ早期実現に向けて取り組んでいただければと思います。 また、都市圏交通に関しても、長年県民の願いである主要幹線道路の東バイパス、そして3号線など、渋滞解消のため、さまざまな観点から、熊本市と連携し、検討を早期に終わらせ、事業化をぜひ実現していただきたいと思います。 熊本は、かつて、歴史的に、行政、教育において九州の中心として栄えていました。九州で一番輝いていたこの熊本を、熊本市だけの発展に終わらせず、九州の発展のため、長期的な視野で、人口減少社会という大きな壁に真正面から挑んでいただきたいと思います。 それでは、次の質問に移ります。 少子化対策について質問いたします。 本県の合計特殊出生率、いわゆる1人の女性が一生の間に産む子供の数は、2005年に過去最低の1.46を記録して以来、上昇に転じ、2018年には1.69で、全国第5位となっています。これは、全国の1.42と比較すると高いレベルを維持していますが、人口を維持する水準である2.07を大きく下回っています。出生数を見ると、2018年では1万4,301人で前年より356人減少しており、依然として人口の1%に満たない状態が続いています。出産適齢期にある女性の人口が減少していく中、人口を維持していくことは、ますます困難となっています。 これまで、少子化対策については、県も積極的に取り組んでこられたと思いますが、まだまだ思い切った改革が必要ではないかと感じています。人口減少、少子化が進行する中、安心して子供を産み育てたいという希望をかなえるためには、行政、地域、企業など、社会全体できめ細やかな取り組みが求められます。 そこで、少子化対策について、2点お尋ねいたします。 まず1点目、安心して子供を産み育てられる環境づくりについてです。 昨今では、女性の高学歴化、自己実現意欲の高まりから、女性の職場進出が進み、2000年以降、共働き世帯が50%を超え、2018年には67%となっています。 県では、平成26年に、熊本県女性の社会参画加速化会議を発足させ、男女が性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できる社会の推進に努めていると聞いています。 しかしながら、平成30年度版熊本県男女共同参画年次報告書において「仕事と生活の両立の状況」を見てみると「家事・育児・介護は、就業の有無にかかわらず妻に偏る」とあり、実際、本県の共働き世帯の家事、育児、介護に従事する時間は、夫32分に対し、妻は4時間24分と大きな差が生じています。これでは、当然働く女性の負担は増しているのではないかと思います。 私は、以前病院に勤めていたことがありますが、看護師など女性が多い職場ということもあり、育児支援制度が充実しており、経営陣を初め上司や同僚も、子育てしながら働く女性に対して理解があり、子育てしながら働くには大変理想的な職場だったように思います。 しかし、その後転職し、人事コンサルタントの仕事をする中で、多くの企業と接してきた経験から感じたことは、熊本は、まだまだ子供を持つ女性が働くには厳しい環境にあるという実態でした。 確かに、データとしては、県女性の育児休業取得率は96.6%となっており、これは、全国平均の83.2%を大きく上回っています。しかし、これは5名以上の従業員を有する会社を無作為に抽出したデータであり、4名以下の企業が6割以上を占める当県においては、実態に伴っているのか、少し疑問が残ります。 私個人の実体験としても、中小零細企業では、育児休暇制度はあるものの形骸化しており、育休をとりたくても仕事量が多く、休みがとれない、上司や同僚の子育てに対する理解が得られないといったことが理由で、結局は退職せざるを得ないという女性を多く目の当たりにしてきました。 このような職場における子育て支援体制の不十分さなどから、子育てと仕事を両立することは困難と考えてしまい、子供を持たないという選択をする夫婦もいるのではないかと思います。 真に、男女が性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮できる社会が実現され、女性に偏っている家事、育児、介護の負担が軽減されれば、女性は不本意な離職やキャリアダウンも防げることから、既に少子化の影響が顕在化してきているさまざまな業界における人手不足の歯どめにもつながります。さらに、世帯所得の低下も防げることから、第2子以降の出産意欲にもつながるのではないでしょうか。 冒頭にも思い切った改革と申し上げましたが、この少子化対策については、旧態依然と社会に根づく意識そのものを大胆に変えていくという気概と積極性が必要ではないかと考えます。 そこで、質問いたします。 若い世代の夫婦にとって、安心して子供を産み育てられる環境づくりについて、今まで申し上げた課題解決を含めて、より実効性を上げていくために必要な取り組みについて、健康福祉部長にお尋ねします。 2点目は、保育士の人材確保についてお尋ねします。 国では総合的な少子化対策の一環として、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため、本年10月から、幼児教育、保育の無償化を実施することとなっています。これにより、今まで以上に子供を保育所や幼稚園に預ける世帯がふえることが予想されます。 県内での待機児童は、ことし4月1日現在、178人と減少傾向にありますが、ほかに入所可能な保育所はあるものの、特定の保育所を希望しているなど、統計上の待機児童としては取り扱われない、いわゆる潜在的待機児童の数は、熊本市だけで538名おり、認可保育所を初めとする入所受け入れ体制のさらなる強化が求められます。 また、女性の社会進出に伴い、保育所入所率は増加傾向にあります。特に、1~2歳の低年齢の入所率は、2010年の29.5%から2017年には45.7%と、約1.5倍に増加しています。国が定める保育所の施設基準により、低年齢児になるほど保育士の必要人数が多くなるため、人口減少が進み、子供が減っている中でも、保育需要の高まりから、保育士不足は慢性化するおそれがあります。 現在、全国的に保育の現場では、給料が安い、責任が重い、労働環境が過酷といった理由などから、保育士が不足しているといった話を聞きます。 本県においては、保育所等に勤務する保育士数は増加傾向にあるようですが、今回の無償化により保育需要がさらにふえ、急激に待機児童がふえたり、また、保育士不足が進むといったことが懸念されるのではないかと思います。 そこで、質問いたします。 今後加速すると見込まれる保育士不足について、県の対策を健康福祉部長にお尋ねします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) まず、安心して子供を産み育てられる環境づくりについてお答えします。 少子化問題は、行政だけでなく、県民、企業や地域など社会全体で、それぞれの立場から将来を見据えた取り組みを進めていくことが必要です。 特に、若い世代の夫婦が安心して子供を産み育てるためには、仕事と妊娠、出産、育児が両立できる社会であることが必要であり、男性が主体的に家事や育児にかかわることができる環境の整備が求められています。中でも、男は仕事、女は家庭という固定的性別役割分担意識の解消は不可欠であると認識しています。 そのため、県では、男女がともに自立し支え合う、多様性に富んだ活力ある社会の実現を目指し、男女共同参画社会実現のための意識、社会基盤の改革に取り組んでいます。 また、仕事と生活の調和を実現するため、ワーク・ライフ・バランスの推進にも取り組んでいます。企業が社員のライフスタイルやライフステージに応じた柔軟な働き方を提供することで、多様な人材の確保や生産性の向上、離職率の低下が期待できます。そこで、県では、企業などに対し、ワーク・ライフ・バランス推進の身近な成功事例に関する情報提供などを行っています。 さらに、平成29年度から、企業の経営者等が社員の仕事と生活の充実を応援する、よかボスの取り組みを始めました。本年9月時点で登録企業が350を超えるなど、その動きは着実に広がりを見せています。 今後も、引き続き、地域や企業を巻き込みながら、粘り強く取り組みを進めるとともに、若い世代が安心して子供を産み育てられる環境づくりを庁内連携してしっかりと進めてまいります。 次に、保育士の人材確保についてお答えします。 県では、国や市町村、関係団体と連携し、新規保育士の確保、現任保育士の離職防止、離職した保育士の再就職支援の3つの観点から保育士確保に取り組んでいます。 主な取り組みとしては、保育士を目指す学生への修学資金の貸し付けや就職説明会の開催、給与面の処遇改善や保育補助者の雇い上げによる業務負担の軽減、再就職に当たっての就職準備金の貸し付けなどです。 こうした取り組みの成果もあり、県内保育所等に勤務する保育士は増加しており、最低基準上必要な保育士数は確保されています。 しかしながら、夫婦共働き世帯の増加等に伴い、保育所等を利用する児童数は年々増加しており、今後は、幼児教育、保育の無償化による保育需要の高まりも想定されることから、さらなる保育士確保の取り組みが必要です。 このため、今年度から、県外の保育士養成施設に対する就職説明会の開催や県外からの再就職を促進するための就職準備金の貸付要件の緩和など、県外から人材を呼び込むための新たな取り組みを始めました。 今後とも、保育の質を確保しながら、高まる保育需要にもしっかりと対応していけるよう、国や市町村、関係団体と連携して、保育士の人材確保に取り組んでまいります。  〔南部隼平君登壇〕 ◆(南部隼平君) よかボスなどの取り組みは、経営者や上司の意識を高めるためには非常に効果的な施策であると思いますが、より具体的な男性育児休暇の取得促進や在宅ワークの奨励など、多様性のある働き方を推奨する施策を今後執行部でも御検討いただければと思います。私自身、企業の人事にかかわる仕事をしておりますので、微力ながら協力できればと思います。 保育士不足への対応については、新規保育士の確保や離職防止も重要ですが、特に、日本全国で70万人以上いると言われている潜在保育士の掘り起こしをぜひ積極的に行っていただければと思います。 私自身、6月に第1子が生まれたばかりの子育て世代真っただ中でございます。今回は、働く女性と保育の受け入れについてお聞きしましたが、今後は、少子化の根本的な原因でもある子供の教育費の問題や晩婚化、未婚率の高さなどへの対策を、部署を超えた包括的な対応を行っていただけるようお願いをいたします。私も、子育て議員として、議員活動と子育てを両立できるよう、しっかり努力を続けてまいります。 それでは、次の質問に移ります。 若者の県外流出防止について質問いたします。 まず、人口減少社会への対応について考える上で必要な人口動態には、大きく分けて自然増減と社会増減に分類され、自然増減は出生と死亡の差、社会増減は都道府県間の転入、転出の差を指します。 熊本県は、2003年から、この両者とも減少している、自然減少、社会減少県となっています。そこで、次は、社会減少への対策について質問いたします。 まず、総務省統計局の住民基本台帳人口移動報告、2018年の結果によれば、本県の都道府県間人口移動はマイナス3,575人で、転出超過となっています。これを年代別内訳で見ると、15歳から24歳で4,059人が転出超過となっています。このデータを見ても、いかに若者の流出が問題であるかがおわかりになると思います。 これは、高校卒業後の進路の影響が大きいと思われ、熊本の高卒者の県外就職率は、本年3月末時点で40.3%となっており、前年より1.5ポイント悪化しています。また、大学進学状況については、県内大学への進学率は53.7%、約半数は県外の大学へ進学しています。このような現状の中で、本県の人口流出を食いとめるためには、若年層の地元定着を促す必要があります。 社会には、いまだ、有名大学からいわゆる誰もが知っている都市部の大企業に就職したら一安心という考え方もあると思います。しかし、一方で、就職に対する価値観や自分の将来の人生設計に対する考えも多様化してきています。 確かに、若者にとって、東京のような都市部での生活は刺激もあり、とても魅力的だと思います。しかし、その反面、住宅費などの生活に係るコストが高く、また、都市部では待機児童等の問題もあり、仕事と子育ての両立がしやすい環境とは必ずしも言えないのではないでしょうか。 一方、地方は、都会に比べると、給与水準は低い場合が多いですが、物価が安く、生活コストを抑えることができ、さらに、仕事をしながら子育てもしやすい環境も整っており、ワーク・ライフ・バランスの実現がより可能になると考えます。 私も、高校卒業後、県外の大学に進学しましたが、卒業後は熊本に帰り、就職をしました。今にして思えば、この選択は間違っていなかったと思います。 さきに述べたグランドデザイン2050の戦略においても、若者や意欲的な人材の育成、若者の地元定着に向けた産学の連携をうたっています。 この人口減少社会を乗り切るには、若い世代をこの熊本に残し、さらに、県外の方々に対して、熊本に帰ってきたい、熊本に住んでみたいと思ってもらえるよう、熊本のさまざまな魅力を発信していくことが重要と考えます。 若者に対して、県内には、すぐれた技術を持つ地場企業や世界的に活躍する誘致企業など、魅力的な企業があるにもかかわらず、そういった企業の存在について、十分にアピールできているでしょうか。自然豊かな熊本での暮らしがどれだけ魅力的であるかについて、十分伝わっていないのではないでしょうか。 特に、高卒者などの県内就職率を高めるため、学生をターゲットに、本人はもとより、その保護者、学校関係者に的を絞った施策を展開することが必要ではないかと思います。 県では、これまで、若者の県内就職と定着を促進するため、ブライト企業の認定や周知、UIJターンの促進に向けた地元企業の情報発信に取り組んでこられましたが、県内就職率はそれほど高まっているとは言えません。もっとブライト企業の魅力を高める取り組みや県外への若者も含めて地元企業をアピールする必要があるのではないでしょうか。あるいは、若者の地元就職に取り組む企業への支援が必要ではないでしょうか。さらに、これまでの取り組みを検証し、課題を整理すべきではないかと考えます。 また、県は、昨年度、県と県内企業が連携して、若者の奨学金返還等をサポートする制度を創設し、現在、2020年度就職者を対象とした若者を募集しています。この制度は、これからの取り組みではありますが、制度を県内外の若者やその保護者にPRし、また、より多くの県内企業の参加が進めば、県内就職の後押しともなるのではないかと思います。 そこで、質問いたします。 県がさまざまな取り組みを行っている中、ブライト企業や奨学金返還サポート制度など、若者の流出防止のための取り組みや現状について、商工観光労働部長にお尋ねします。  〔商工観光労働部長磯田淳君登壇〕 ◎商工観光労働部長(磯田淳君) 若者の県外流出を防止するためには、議員御指摘のとおり、熊本で生活することの豊かさや県内企業の魅力を若者や保護者に対し発信するとともに、県内企業で働く人が生き生きと輝き、安心して働き続けられる職場づくりが大切です。 お尋ねのブライト企業については、学生に企業を紹介する魅力発見フェアの開催や企業を紹介する冊子の学校への配付、保護者向けの企業見学会の開催などにより、その魅力を発信しております。 認定企業のアンケートでは、約5割の企業が、ブライト企業への認定が採用に好影響を与えていると思う、約6割の企業が、事業所のイメージアップにつながったとの回答がありました。また、くまモンをあしらったブライト企業のロゴ入り名刺やピンバッジを、従業員の方が誇りを持って使用されていると伺っており、制度に対し一定の評価をいただいていると考えております。 また、生き生きと輝く職場づくりを一層推進するため、昨年度から、モデルとなる取り組みを表彰するブライト企業賞を設けました。さらに、今年度は、ブライト企業の審査項目のうち、就職先選択の重要な要素である働きやすさや賃金に着目した審査項目の充実を図っております。県内企業のさらなる働きやすさの向上につながるよう、今後も継続して制度の磨き上げを行ってまいります。 また、奨学金返還サポート制度については、今年度から新たに、大手職業紹介事業者のノウハウを活用して、ウエブ広告の掲載やダイレクトメールの発送など、本県出身の首都圏などの学生や保護者への周知を強化することとしております。加えて、商工団体や建設産業団体、情報産業団体など幅広い業界へ丁寧な制度周知を行い、参加企業の拡大にも注力してまいります。 現在、2020年度就職者を募集中であり、来月からは、2021年度就職者を対象とした募集を開始します。県内外の多くの若者に広くこの制度を知ってもらい、県内就職と定着につながるよう、効果的な周知に努めてまいります。 さらに、今年度からは、インターンシップに取り組む県内企業への補助や社員寮整備への支援制度もスタートさせました。 今後も、熊本労働局や教育庁など関係機関と連携を密にしながら、さまざまな取り組みを展開し、若者の県外流出防止により一層取り組んでまいります。  〔南部隼平君登壇〕 ◆(南部隼平君) ブライト企業については、認定事業所も順調に増加し、企業側も、ロゴを名刺に使ったり、会社のホームページでアピールするなど、活用している企業もかなりふえている印象があります。しかし、それがしっかり学生や保護者に届くよう、県民全体へ浸透させるためのブランディング戦略をさらに検討していただければと思います。奨学金サポート事業も同様、企業と連携し、ぜひ拡充をお願いいたします。 また、他県の事例を見てみると、都道府県の幸福度ランキングが3年連続1位の福井県では、インターンシップ実施率が全国1位で、高校生や大学生のインターンシップにとどまらず、小中学校の段階から地元企業が出前授業を行うなど、子供たちが早くから地元企業に触れ合い、興味を持てるようにしている事例があります。 このように、優秀な人材を熊本に残すために、学校、学生、家庭、地元企業、行政が早くから連携し、学生の個性を踏まえ、適材適所に配置する、きめ細やかな就職支援をすることが必要だと考えます。このような事例も参考に、多面的な視野で対策を講じていただければと思います。 それでは、次の質問に移ります。 関係人口から定住人口へつなげる取り組みについて質問いたします。 昨今、関係人口という言葉を耳にする機会が多くなりました。関係人口には、さまざまな形態があります。例えば、ふるさと納税や熊本県産品の消費など、比較的ライトなかかわりを持つ方もいれば、地域住民と一緒になって、地域の課題解決やものづくり、事起こしなどに積極的にかかわっていく方もいます。 総務省のこれからの移住・交流施策のあり方に関する検討会では、地方は、人口減少、高齢化により、地域づくりの担い手不足という課題に直面しており、こうした課題に対し、移住した定住人口でもなく、観光に来た交流人口でもない、地域と多様にかかわる者である関係人口に着目し、地域外からの交流の入り口をふやすことが必要になるとしています。 また、都市圏への人口流入が続き、それがとどまる兆しは見えない中、本年6月に公表された第2期まち・ひと・しごと創生基本方針2019においては、将来的な地方移住にもつながる関係人口の創出、拡大が新たな重点施策として推進されることとなりました。 このような中、総務省では、平成30年度から、地域外の人が関係人口となる機会やきっかけの提供に取り組む地方公共団体を支援する関係人口創出事業を実施しています。 本県では、平成30年度に天草市、南小国町、今年度は菊池市がモデル事業に採択され、関係人口の拡大に向けた取り組みを進めているところです。 今後、さらに東京一極集中が加速する中において、東京などの都市圏で働く人が熊本とのかかわりを持つことで、新たな可能性を見出し、地方の新たな活力を生む人材としても期待ができるのではないでしょうか。 そして、もう1つ重要なのが、関係人口をいかにして定住人口へつなげていくかではないかと考えます。 東京での移住相談を見ると、2008年には、50代以上の相談者が全体の約7割を占めていましたが、2018年には、40代以下の相談者が全体の約7割になるなど、若い世代からの移住相談がふえてきているというデータもあります。このような若い世代の方々を地域の担い手として移住につなげていくような取り組みも必要ではないかと思います。 そこで、質問いたします。 これらのことを踏まえ、県の関係人口の創出、拡大の取り組みと今後関係人口をどう定住人口につなげていくのか、企画振興部長にお尋ねします。  〔企画振興部長山川清徳君登壇〕 ◎企画振興部長(山川清徳君) 人口減少や高齢化が進む中、地域や地域の方々とさまざまなかかわりを持つ関係人口の創出、拡大は、地域の活性化や地域づくりの担い手確保につながるものとして期待されています。 県では、首都圏を初め、県外在住の熊本にゆかりのある方々の力をネットワーク化し、地域の活性化につなげる熊本コネクションプロジェクトを推進しています。さらに、都市部の大学生などが熊本で働きながら地域の方々と交流するふるさとワーキングホリデー等を実施し、若い世代を初め多くの方に本県への関心を高めていただく取り組みを進めております。 このような関係人口創出、拡大の取り組みにおいては、議員御指摘のとおり、関係人口にとどまらず、将来の移住、定住につなげていくことも重要です。 そのため、県では、これらの方々にも熊本暮らしを身近に感じてもらえるよう、今年度から、国の交付金事業を活用して実施する移住体験ツアーや移住・就業セミナー等の情報をSNS等で発信しています。また、熊本での生活や仕事の相談にワンストップで対応できる窓口を、東京に加え、この7月から大阪にも設置し、近くで気軽に相談できる体制を整えています。さらに、今後、若い世代を中心に、東京からの移住を促進するため、国が全国的に取り組むわくわく地方生活実現政策パッケージに対応した移住支援事業等の取り組みも強化する予定です。 今後も、関係人口の創出、拡大に取り組むとともに、その先の移住、定住につなげる取り組みを積極的に展開し、持続可能な地域づくりを推進してまいります。  〔南部隼平君登壇〕 ◆(南部隼平君) この関係人口を定住人口につなげる取り組みについては、熊本コネクションプロジェクトやふるさとワーキングホリデーなど、新しい事業も含め、きっかけづくりである入り口戦略が注目をされますが、まずは、都市圏にある熊本県人会や高校同窓会などと連携し、相談窓口をさらに拡充するなど、フォロー体制をしっかりと強化し、熊本に帰ってきたいと思っている方の背中を押すような取り組みを強化していただきたいと思います。 現状では、幾ら熊本に興味を持っていても、生活水準を落としてまで熊本に来るというのはなかなか難しいと思うので、企業の中途採用の給与水準の見直しも含め、地場企業とも連携しながら、優秀な人材を熊本に呼び込む仕組みをともに考えていければと思います。 そして、関係人口拡大という考えが生まれた本質は、地方の担い手をどう確保していくかということなので、各市町村と連携しながら、成功事例を市町村で横展開していくなど、そういった施策を今後も期待しています。 それでは、次の質問に移ります。 県スポーツ施設の老朽化対策について質問いたします。 現在、県内には、藤崎台県営野球場や熊本武道館、県立総合体育館、県民総合運動公園などの県スポーツ施設が存在しています。これらの施設は、スポーツのみの使用ではなく、コンサートやイベント、さらには、災害時の防災拠点としての役割を担うことも求められます。 しかし、施設の老朽化やアクセスの悪さなど、こういった要因により、施設の使いにくさや集客能力不足といった問題があります。 例えば、藤崎台県営野球場は、創設59年になりますが、ただでさえ少ない熊本の硬式野球場の中で最も古く、天然記念物であるクスノキがあるため、改修や駐車場の整備もできない状態です。 また、先般の熊本地震においても、照明塔や内野席の一部が破損するなどの被害を受けました。これらの老朽化等の問題により施設の利用が制限されれば、熊本に住む子供たちにとって、スポーツを間近に触れる機会を失う可能性があります。現在、多くの県民の方々からも、この老朽化した施設を新設してほしいという声を聞いています。 しかしながら、一方では、この人口減少時代に膨大な予算を要する野球場や武道館、アリーナなどのスポーツ公共施設を新設することに懐疑的な意見を持つ声があるのも確かです。 今後、スポーツ施設を新設する場合には、安定的な集客や興業収入の確保といった将来を見据え、稼げる箱という視点についても議論を進めていくことが重要ではないかと思います。 私自身、スポーツを通じて、人としての人格形成や夢を持つことの大切さを学んできました。 このように、スポーツ施設の問題は、長年の課題であり、執行部においても、この課題について議論を重ねてこられたと思います。これらのことも踏まえて、我々自民党県連としても、この課題解決に向けて議論を深めていくため、11名で構成するスポーツ施設のあり方を検討する委員会を今定例会中に立ち上げることになりました。 そこで、質問いたします。 県として、既存スポーツ施設の老朽化対策及び仮に新たな施設を整備する場合の基本的な考えを教育長にお尋ねいたします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) まず、県スポーツ施設の老朽化対策についてお答えをいたします。 本県では、藤崎台県営野球場を初め6つのスポーツ施設を有しております。 国からは、令和2年度までに、個別施設ごとに維持管理、更新等に係る対策の内容や実施時期を定める個別施設計画を策定するよう求められております。 このうち、熊本県民総合運動公園及び県営八代運動公園については、策定を終えております。残る熊本武道館、藤崎台県営野球場、県立総合体育館及び県総合射撃場の4施設については、令和2年度までに、県庁舎などの県有施設とあわせて策定する予定であります。 なお、熊本武道館と藤崎台県営野球場につきましては、現在、継続使用する場合の改修費用等の算定も行っております。 今後は、個別施設計画に基づき、計画的な維持補修、改修を適切に行うことにより、施設の長寿命化を図るとともに、財政負担の平準化に努めてまいります。 次に、新たなスポーツ施設についての考えについてお答えを申し上げます。 現在、熊本地震からの復旧、復興に全力を注いでいる状況にございます。これからの新たなスポーツ施設の整備については、各既存施設の現状や課題の整理を踏まえ、その必要性の検討にあわせ、建設費用やランニングコスト、財源確保等の把握を行う必要がございます。さらに、民間の資金やノウハウの活用についても検討が必要であると考えております。 今後は、さまざまな御意見を広くお聞きしながら、これらの論点について精度を高め、優先順位等についても、多角的に検討を行っていくことが必要であると考えております。  〔南部隼平君登壇〕 ◆(南部隼平君) 私は、選挙のときにも、新球場建設、そしてスポーツ特区構想というのを公約に掲げて戦いました。 もちろん、新しいものをつくることが一番いいかもしれません。しかし、ただ単につくったとしても、未来に財産として残していかなくては、つくる意味はありません。 今国レベルでは、その地方の特性に合わせたスポーツツーリズムやスポーツコミッションなど、スポーツを利用した地域活性化を推進しています。さらに、県内においても、ラグビーワールドカップや女子ハンドボール世界選手権など、スポーツに対する機運が高まっています。 そんな今だからこそ、今回の調査で、施設を維持するという視点だけではなく、県全体の経済的効果、活用方法等、将来性を含めて調査をしていただければと思います。そのような施設を未来への財産として残していくために、場所等を含め、最善の策は何なのかを今後議論を深めていければと思います。 また、自民党といたしましても、スポーツ施設のあり方を検討する委員会を立ち上げ、党内の議論を進めていきますので、執行部とともに、さまざまな観点から、今後のスポーツ施設のあり方について検討していければと思います。 それでは、最後の質問に移ります。 デジタル化の施策について質問いたします。 国が提唱するIoT、ロボット、人工知能、ビッグデータ、ブロックチェーンといった先端技術を、あらゆる産業や社会生活に取り入れ、経済発展と社会的課題の解決を両立していく新たな社会、ソサエティー5.0の実現によって、持続可能な地域社会の構築を目指す取り組みが進められています。 また、来年には、日本でも5G、いわゆる第5世代移動通信システムが実装され、通信の高速化だけでなく、例えば、スマート家電など、身の回りのありとあらゆるものがワイヤレスでネットワークにつなげることができるようになり、IoT化が一気に進むと予測されています。 ことし6月に示された国のIT新戦略では、デジタルガバメントやデータ利活用などの政策を加速させることで、利便性を飛躍的に向上させ、国、地方、民間の効率化を徹底するとともに、データを新たな資源として活用しながら、全ての国民が不安なく、デジタル化の恩恵を享受する社会の実現を目指すとしています。 そのような中、熊本に目を移してみると、熊本市を含め、人口減少、少子高齢化は容赦なく進展しており、特に、福祉や建設業、農林水産業、公共交通機関等の産業分野においては、人材不足が顕著となっています。 この問題の根本的な解決は大変難しいと認識していますが、IoTやAIを活用することにより、生産性の向上が図られ、課題解決の一助となるのではないかと考えます。 全国の事例を見てみると、さいたま市では、保育所の利用調整に当たり、申請者の優先順位等、市の割り当てルールを学習したAIが、調整業務を行っていた職員のかわりとなり、1,500時間を費やしていた作業を数秒で可能とするなど、事務の効率化が図られています。 当県においても、宇城市が、RPAと呼ばれるデスクワークなどの単純作業を代行、自動化するシステムを活用し、ふるさと納税と時間外申請の業務について作業を自動化し、1,700時間の削減効果を見込んでいます。 また、荒尾市では、競馬場跡地などで進めている土地区画整理事業を生かした新しいまちづくりの提案が国土交通省スマートシティモデル事業の重点事業化促進プロジェクトに採択され、国のバックアップのもと、民間と連携しながら、最先端の情報通信技術を活用したまちづくりが始まっています。 これらの事業には、AIやRPA等の技術だけではなく、官民データの積極的な利用が必要と考えられますが、熊本県全体としては、行政、民間ともに、まだまだデジタル化やその施策を支えるオープンデータ化が進んでいないのが現状ではないかと思います。 このオープンデータ化については、私も経験がありますが、県庁のホームページから自分の欲しい情報を得ようと検索しても非常にわかりにくく、大変苦労した覚えがあります。 私は、デジタル化の進歩が日進月歩で加速度的に進んでいる昨今、このままでは、情報技術分野において、熊本が取り残されてしまうという危機感を持っています。 そこで、質問いたします。 今後ますます情報技術が発展していく中で、本県における情報技術を生かした県民の利便性向上の取り組みや地域課題の解決に導くデジタル化の施策について、企画振興部長にお尋ねします。  〔企画振興部長山川清徳君登壇〕 ◎企画振興部長(山川清徳君) 国が6月に発表したIT新戦略では、国民が安全で安心して暮らせ、豊かさを実感できるデジタル社会の実現を目指し、世界を牽引する先駆的取り組み、データ利活用、デジタルガバメント及び基盤整備の4つの重点的取り組みでデジタル化を進めることとしています。 本県においても、人口減少、少子高齢化は進んでおり、企業や行政において、生産性向上やサービス改善を目的としたIoTやAI等のテクノロジーの活用が期待されています。 県でも、例えば、ICタグで放牧牛を管理する実証事業や養殖マダイに自動で餌を与えるシステムの開発など、スマート農林水産業の取り組みを積極的に進めています。また、子育てにおいては、スマートフォンを活用して、AIが24時間365日、子育ての質問に回答するシステム「聞きなっせAIくまもとの子育て」の実用化を図ったところです。 さらに、ことし3月に策定した熊本県官民データ活用推進計画に基づき、県が保有するデータを公開するオープンデータや行政手続のオンライン化、基盤整備などに取り組んでまいります。その際には、どのような方法が県民にとって最も活用しやすいか検討しながら進めていきます。 デジタル社会の実現のためには、県全体で進めていく必要があると考えており、市町村、大学、県内企業等と連携、協働しながら、積極的に推進してまいります。  〔南部隼平君登壇〕 ◆(南部隼平君) 熊本県としても、主体的に取り組んでいただけるという御答弁をいただきました。 今後は、急速なデジタル化により、10年後の生活は、確実に変化していきます。財政の乏しい地方は、デジタル化がおくれ、さらに格差が広がるおそれがあります。しかし、遠隔医療やドローンでの配達、集荷、スマート家電などは、高齢者の多い地方にこそニーズが高いものだと思います。そのような市町村への支援とそれらを率先して進めることができるIT人材の育成を含め、各機関と連携し、県としてのバックアップをぜひお願いいたします。 また、利便性向上については、期間を決めて、手続のオンライン化、オープンデータの整備など、スピード感を持って進めていただければと思います。 これで私の質問は全て終了いたしました これから熊本県の将来を担っていく子供たちや若い世代のために、夢を実現できる熊本をつくっていく、それを信条に、私自身、しっかりと勉強させていただき、将来熊本に住む人に熊本に住んでよかったと心から思っていただけるよう努力をしてまいります。 本日は、最後まで御清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(井手順雄君) この際、5分間休憩いたします。  午前10時59分休憩    ――――――○――――――  午前11時9分開議 ○議長(井手順雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 城戸淳君。  〔城戸淳君登壇〕(拍手) ◆(城戸淳君) 皆さん、おはようございます。無所属の新人で、玉名市選出・城戸淳でございます。市議会のときは、一般質問を何回かやっておりますけれども、市議会と県議会のやり方が違うので、少し戸惑っております。というのも、玉名市議会では、一般質問の中で、質問が1時間、答弁は制限なしということでした。実は、一問一答を導入したときは、6人の質問者の中で、朝10時から始まって夜10時まであったこともございます。ただ、長ければいいというわけではございません。今回、県議会で一般質問をさせていただいて、打ち合わせをする中で、質問と答弁も含めて1時間ということは、非常に勉強になりました。 今回は、県議会で初めての一般質問になりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。また、本日は、地元から傍聴に来られていますので、情熱を持って精いっぱい頑張らせていただきます。 さて、4月の県議選において、玉名市選挙区では、非常に激しい選挙でございました。昨年、森前副議長の勇退の意向を受けて、2期5年の市議会議員を辞職して、そして出馬表明をいたしました。玉名市の皆様に支えられながら、応援してもらいながら、県政へ送り出していただきました。もともと、私は、市議会議員を含めて、自民党の党員を長くやっておりました。長きにわたり活動してまいりました。今のところ無所属でございますけれども、自民党の県議団の先生とともに、足並みをそろえて活動をしてまいります。また、蒲島知事の出馬表明を踏まえて、私もしっかりと支えていく覚悟でございます。知事、どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、質問に移らせていただきます。 初めに、県北地域におけるスポーツを通じた観光について質問をさせていただきます。 いよいよ東京オリンピックまで1年を切りました。各種目における代表選考にも注目が集まっております。やはりスポーツは、国や文化の違いを超えて、世界中が熱くなれるとてもすばらしいものだと思います。その中で、本日最初の質問は、マラソンに関する質問をいたします。 ことし、NHK大河ドラマにおきまして、マラソンの父と呼ばれる金栗四三を描いた「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」が放映をされております。玉名市では、大河ドラマの波及効果を期待し、大河ドラマ館を開館するなど、PRに取り組みました。そのほかにも、関連する自治体や県におきまして、広報の面で尽力していただいたことに改めて感謝を申し上げます。私は、NHK大河ドラマで取り上げられた金栗四三氏の功績を全国に広げ、一過性のものとして終わらせないためにも、さらなる継続した取り組みが必要だと考えます。 観光物産課の報告によりますと、筑波大学陸上競技部の熊本合宿が9月2日から玉名市と水上村で昨日まで行われたと伺っております。きょうから日本学生陸上競技対校選手権大会に参加されるようでございます。筑波大学は、箱根駅伝復活プロジェクトの一環として、今回の熊本合宿を通じて、部の強化を図っているようでございます。昨年12月に、熊本県、玉名市、和水町及び南関町と筑波大学との間でスポーツ等を通じた地域経済の活性化に関する連携協定の締結の成果の一つだと思います。 一方、玉名市では、ことしから、新しい市民参加型のフルマラソン大会を来年2月23日日曜日に開催することが決定いたしました。その名も、玉名いだてんマラソンです。現在、その開催に向けて、コースの設定を初めとして、着々と開催に向けた準備を進めていると聞いております。この議場の中にも、市民参加型のフルマラソンに挑戦され、完走された方がおられると思います。 私は、この市民参加型マラソンにはさまざまな効果があると考えております。まず考えられるのは、経済波及効果です。九州を例に挙げますと、1万人が参加する北九州マラソンは、運営費3億円に対して、経済波及効果は10億円に上ると言われております。 また、熊本城マラソンにおきましても、20億円を超えると試算されております。希望者が多く、定員の2倍以上の応募があり、人気の高さがうかがえます。そして、参加者は、実際に走ってみて、町並みやおもてなし、地の産物やボランティアの人柄に触れることで、その地域の魅力を知ってもらい、感じてもらい、発信してもらう効果が期待をされます。 特に、金栗四三の功績が全国に知られた今こそ、市民参加型フルマラソン大会の開催を通じて、熊本の魅力を体感していただく貴重な催し物になると確信をいたします。 そこで、質問をいたします。 玉名いだてんマラソンは、玉名市の主催になりますが、熊本県としても、広報面での支援やどのように観光振興につなげていくのかを商工観光労働部長にお尋ねをいたします。 続きまして、県北地域における県営スポーツ施設の設置についての質問です。 本県は、熊本地震からの復旧、復興に全力を注ぎ、創造的な復興を掲げてまいりました。そうした中、ことしは、観光振興にも大きなチャンスを迎えており、ラグビーワールドカップと女子ハンドボール世界選手権という2つの国際スポーツ大会が開催をされます。これは大変喜ばしいことであり、こうした契機に、本県におきましても、多くの国内外観光客の誘致に向けた取り組みを進めていただいております。 こうした大会を開催するためには、会場となるスポーツ施設の整備が大きな課題となります。熊本武道館と藤崎台県営野球場に関しては、現在、熊本県・熊本市のスポーツ施設のあり方検討会議において、施設のあり方が検討されると伺っております。 そこで質問です。 両施設のあり方について、会議ではどのような議論が行われているのか、今後改修や建てかえなどの方向性は出ているのか、また、県北地域に整備される可能性はあるのか、教育長にお尋ねを申し上げます。  〔商工観光労働部長磯田淳君登壇〕
    ◎商工観光労働部長(磯田淳君) 大河ドラマ「いだてん」の放送を契機に、県では、ラッピング新幹線の運行を初め大都市圏での宣伝広告、イベント等のプロモーション展開や地元の受け入れ環境の整備を行ってまいりました。また、周遊観光の促進により、経済効果が県内に広く長く及ぶよう取り組んでいます。 これにより、新たに整備されたいだてん関連施設への観光客や物産館の売り上げの増加、旅行会社による団体向け周遊ツアーの実施など、玉名地域はもとより、周辺地域への波及効果があらわれています。 本年2月の玉名市横島町いちごマラソン大会では、金栗四三役の中村勘九郎さんや宮崎美子さんも来場され、例年以上の盛り上がりを見せました。また、昨年11月に和水町で開催された金栗四三翁マラソン大会は、参加者が前回大会から3割以上増加するなど、いだてんとマラソン大会の相乗効果が見られたところです。 このような中、来年2月に玉名市で、フルマラソンである玉名いだてんマラソンが開催されます。これは、玉名市を金栗氏のふるさととして再認識していただくまたとない機会であり、大会の盛り上がりを大いに期待しております。 県においても、多くのランナーに参加していただくため、この大会を初めとする県内開催のマラソン大会を紹介したマップの作成や10月に大阪で開催されるツーリズムEXPO等のPRイベント、ウエブ、SNS等を通じた発信を積極的に行ってまいります。 さらには、参加ランナーや応援でお越しになる方々に熊本の温泉やグルメ、地域での体験等を発信し、このマラソン大会を通じた観光振興をしっかりと図ってまいります。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) まず、熊本県・熊本市のスポーツ施設のあり方検討会議の議論の状況についてお答えをいたします。 この検討会議は、平成27年1月に開催された熊本県・熊本市政策連携会議において、蒲島知事と大西市長との間で、県が保有するスポーツ施設、とりわけ熊本武道館及び藤崎台県営野球場の今後のあり方について課題整理を行うことを合意し、同年8月に設置をいたしました。 平成28年度は、熊本地震の影響により一時休止せざるを得ませんでしたが、これまでの間、両施設における老朽化や駐車場不足、立地上の制約など、さまざまな課題の整理を行っております。 また、他県の施設の調査や両施設の経済効果の分析などにも取り組んでいるところです。 次に、両施設の改修や建てかえなどの方向性についてお答えをいたします。 まず、改修についてですが、現在、継続使用する場合の改修費用等について算定を行っているところであり、今後は、その結果を踏まえ、個別施設計画の策定を進めてまいります。 また、建てかえに関しては、あり方検討会議において、新施設建設の必要性の検討や建設費用等の把握とあわせて、その経済効果や防災拠点機能などに関しても議論を行っているところです。 このため、議員からお尋ねのありました県北地域への移転の可能性につきましては、現段階では判断できる状況にはないと考えております。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) それぞれ答弁をいただきました。 まず、最初の質問に関してですが、アスリート出身の県議でいらっしゃいます松野明美先生にも、ぜひ玉名いだてんマラソンにランナーとして参加していただければと思います。また、議場におられる先生方にも、ぜひ参加していただければと思います。もちろん、私もランナーとして参加をいたします。繰り返しになりますが、来年2月23日に開催しますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。 熊本県内には、市民参加型マラソン大会が幾つかございます。それぞれの特徴を生かし、市民マラソンとして地域性の確立が進み、結果として、熊本全体の観光振興にも役立つことを期待いたします。 (資料を示す)スクリーンに映し出しているのが、実際に第1回の玉名いだてんマラソンのコースになります。玉名いだてんマラソンは、将来的に金栗四三とゆかりのあるコースに変更することも十分考えられますので、その際には、県の警察本部とも協議を重ね、実現できるように努力をいたします。 続いて、県北地域における県営スポーツ施設の設置については、知事も表明されているように、熊本地震からの復旧、復興に向けて、被災者の住まいの再建など、優先すべき事項がありますので、しっかりとその見通しをつけると同時に、このスポーツ施設のあり方についても、検討会議の協議の結果を受けて、しっかりと整備を進めていただきたいと思います。 藤崎台県営野球場は、熊本における高校球児の聖地と言えます。そのため、私は、熊本県藤崎台県営野球場を熊本市に移管するというのも一つの方法ではないでしょうか。 一方、プロ野球や大規模大会を誘致することを考えますと、現在の藤崎台県営野球場は課題もあると伺っております。硬式野球の競技団体の調査によりますと、3万人規模のメーン野球場と1万人規模のサブ野球場、屋内多目的運動場をワンセットにした施設がプロ野球の公式戦や大規模大会を誘致することができるとのことでした。 宮崎県は、県営総合運動公園がその条件を満たしております。鹿児島県は、県と市が協力して、県立鴨池球場、鴨池市民球場、市営屋内多目的運動場を整備し、誘致を進めておられます。 また、最近は、九州内でも、社会人野球や大学野球の合宿の需要もふえているようです。ただ、熊本県においては、高校以上で使える硬式野球場の絶対数が少ないという指摘もございます。 そこで、もし、検討の結果、藤崎台県営野球場を熊本市に移すなどの形で残し、新たに県営野球場を整備するという方向性が出た際には、候補地として玉名市を提案したいと思います。と申しますのも、玉名市は、九州のへそに位置し、新幹線駅もございます。玉名市によりますと、その新玉名駅のそばに約6万平米の用地がございます。県北地域に県営のスポーツ施設を整備するという意味では、最適の用地だと考えます。もちろん、インターチェンジも近くにあるため、高速道路からのアクセスも可能であり、長洲フェリーや、将来的には沿岸道路が開通すれば、長崎や佐賀からの誘客も見込めます。 現在、県北地域には、県営のスポーツ施設がございません。県全体のバランスを考えたときに、県北地域にスポーツ施設を整備することは、大きな意義があると言えます。もちろん、施設の整備には、建設費用に加え、設置後の施設の維持管理、運営にかかるコスト、施設の整備に係る費用対効果など、さまざまな課題を整理する必要がございます。来年、東京オリンピックが行われますが、施設の整備に関しては、その後の施設の維持を含めて、さまざまな論議があったことは記憶に新しいところでございます。 そうした中、スポーツ庁は、地域活性化の起爆剤として、スタジアム、アリーナの改革案をまとめ、公表をしています。その中でも、行政と民間企業が、資金面や運営面における役割を明確にしていく必要を指摘しています。 広島のマツダスタジアムは、早い段階から行政と民間がスタジアムのあり方を話し合って完成した事例として、全国の注目を集めています。スタジアム内には、通常の観覧席だけではなく、家族がバーベキューを楽しめる観覧席もあるほか、6つのラウンジも設けられており、社交の場としても活用されると聞いております。 立地に関して言えば、マツダスタジアムは、新幹線の新広島駅から歩いていけるところにございます。スポーツ施設の整備には、交通アクセスも大きなポイントになります。その点、新玉名駅横の用地は、十分な駐車スペースが確保でき、新幹線の駅から近いため、県北地域においては、候補地の一つとして最適だと考えます。 一番の問題になるのが費用に関してでございますが、土地獲得にかかる費用は、熊本市内に比べて大幅に費用を抑えることが可能です。私は、スポーツ施設の整備に関しては、早い時期から、利害の一致しやすい民間企業や実際に施設を利用する競技団体、かかわりのある市町村などと費用拠出や施設のあり方、運営方法などを柔軟に話し合うことが本県にとって有益であると考えます。 この藤崎台県営野球場に関しては、今まで何回も質問されている髙木先生、そして2日目の代表質問で質問されている城下先生、そして先ほど南部先生も質問をされております。 県民の幸福量を最大化するため、知事には、引き続き力強いリーダーシップを発揮していただくことを期待しまして、次の質問に移らせていただきます。 続きまして、人生100歳時代と高齢者の健康・生きがいづくりについて質問をいたします。 先日、元滋賀県知事の國松善次氏を玉名市に迎え、健康・生きがいづくりの講演会を開催いたしました。この國松先生は、滋賀県庁で教育委員会事務局文化部長、健康福祉部長、総務部長を歴任され、退職後に知事を2期8年務められた経歴を持っていらっしゃる方です。 國松先生が健康福祉部長を務めた際に、ヨーロッパの福祉先進国に視察に行かれ、そこで、健康管理は自己責任、自己防衛が基本であり、本人の覚悟と努力が必要で、その土台の上に社会保障があると学ばれたとのことでした。帰国後、部署の名前を、当時の厚生部から健康福祉部に改称することを提案されたそうです。さらに、國松先生は、在職中に健康・生きがいづくりアドバイザーの資格を取得されました。現在も、100歳大学の普及啓発に取り組んでいらっしゃいます。 この100歳大学は、人生の下り坂に入る65歳、66歳を対象に老いに対する基礎教育を行うものです。仮に100歳まで生きるとすると、65で定年退職した場合、その後35年生きることになります。人生の山に登る際には、義務教育という形で、6歳から小学校に入学し、中学校まで9年間義務教育を受けます。そこには、教科書があり、先生もいます。この義務教育は、人生を登山に例えるなら、登山に必要なことを身につける期間と言えます。しかし、下山を始めるときには、下山には一体何が必要なのか、体系的に学ぶことができないという現状があります。体力が低下し、社会的な役割が失われることも考えられる高齢者にとって大事なのは、自身の役割をつくり出す心構えではないでしょうか。 國松先生は、知事退職後に、自転車で全国の護国神社を回る活動を展開されたほか、マラソンにも挑戦され、東京マラソンを完走された経験をお持ちで、80歳を迎えた今なお多くの挑戦を続けていらっしゃいます。先日の講演会でも、高齢者こそ目標を持つこと、仲間をつくること、褒められることの必要性を力説されました。 滋賀県の栗東市では、平成28年に、100歳大学を開講しました。そこで体系的に老いについて学ぶという――各専門家からの介護予防や福祉制度、地域参加などの基礎科目を履修し、男性のための料理教室や女性のための体操教室など、一人一人にふさわしい選択科目を履修するのです。1年間で基礎科目と選択科目を合わせて約40科目を履修した卒業生に、市が卒業証書を授与するそうです。特に、國松先生は、一人一人が老いに対峙する備えと覚悟の必要性を指摘しています。医療や介護保険などの福祉制度も、集団防衛の仕組みだけでは限界を迎えると説いておられます。100歳を生き抜くためには、自己防衛が必要になってくるということだと思います。 この100歳大学の卒業生に対して、行政から、自治体ポイントを進呈する、税金を免除するなどの特典が与えられれば、受講者のモチベーション向上につながるのみならず、自治体にとっても、医療費の削減や地域の担い手不足の解消につながる相乗効果も考えられます。 そこで、健康福祉部長と教育長に質問です。 まずは、健康福祉部長にお尋ねをいたします。 熊本県では、高齢者の健康・生きがいづくりに関して、どういった取り組みを進めているのでしょうか。 次に、教育長にお尋ねをいたします。 高齢者には、100歳大学のように、退職後も多様な学習を受ける機会、つまり生涯学習が提供されることが必要です。学習した成果を地域活動等に生かすことで、健康保持や生きがいにもつながります。市町村が、公民館などで、住民向けに生涯学習講座を実施されておりますが、その講座が充実するための市町村に対する県の支援についてお尋ねをいたします。  〔健康福祉部長渡辺克淑君登壇〕 ◎健康福祉部長(渡辺克淑君) 昨年10月1日現在の推計では、本県の65歳以上人口は53万7,000人で、高齢化率は30.6%と、全国平均を2.5ポイント上回っております。 また、人口10万人当たりの100歳以上の高齢者数でも、全国10位の長寿県であり、「高齢者が健やかに暮らし、いきいきと活躍できる"長寿で輝く"くまもと」を長寿・安心・くまもとプランの目指す姿として位置づけ、さまざまな施策に取り組んでいます。 高齢者の健康や生きがいづくり、社会参加活動を促進する取り組みとしては、一般財団法人熊本さわやか長寿財団が実施する熊本さわやか大学校の運営やシルバースポーツ交流大会の開催などに対し、支援を行っています。 熊本さわやか大学校では、熊本校と八代校の2校で、健康づくりや介護入門、男性の食事づくりなど、さまざまな内容の講座をそれぞれ年間40回開講しており、この10年間で1,400人を超える方が卒業されています。また、卒業された方たちが自主的に大学院を開校され、年間20回ほどの講座を開いて、史跡などを訪問されたり、あるいはボランティアグループを結成されるなど、継続的な学びや仲間づくりの活動につながっています。 また、県では、高齢者が介護予防の体操や趣味活動を行う住民主体の通いの場の設置に取り組む市町村に対し、アドバイザーの派遣や研修会の実施等の支援も行っています。 その結果、昨年度末、県内で週1回以上開催されている通いの場は1,100カ所以上となり、1万7,000人を超える高齢者が参加されている状況です。 このほか、高齢者がこれまで培った知識や経験を生かして働く生きがい就労の取り組みも推進しており、引き続き、市町村や関係団体と連携し、長寿で輝くくまもとの実現に向けた取り組みを進めてまいります。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 人生100歳時代を迎えるに当たり、高齢者が、これから先の人生のありようや老いについて学ぶことは大変重要であります。 議員御提案の100歳大学のような生涯学習講座を身近な市町村に設けることは、生きがいづくりにつながるとともに、地域の活性化にも資するものと考えております。 県教育委員会では、平成14年度から、年間100講座以上を開講している県生涯学習推進センターで得られたノウハウを活用し、講座内容や講師の情報などを提供することで、市町村を支援してきたところであります。 今後は、生涯学習講座で学んだ成果を地域活動に生かしていく取り組みを市町村へ展開していくことが重要となります。そのため、今年度から新規事業を立ち上げ、4市町をモデル地域として、例えば、防災について学習した方に地域の防災活動のリーダーとして活躍してもらうことなどを考えております。また、その成果について、他の市町村へ積極的に情報提供を行い、県内全市町村への支援を強化してまいります。 今後も、引き続き、多様な生涯学習の場を提供するとともに、市町村のニーズに合った支援を行いながら、人生100歳時代を見据えた生涯学習の推進を図ってまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 熊本県は、長寿県でございます。100歳以上の方が、県内に、昨年9月時点で1,464人いらっしゃると聞いております。今後も、健康寿命が長くなる高齢社会の先進県としてその模範を示せるよう、引き続き、高齢者の健康・生きがいづくりに向けた取り組みに期待したいと思います。私も、國松先生との御縁を継続した取り組みにしていくために、玉名市で九州初の100歳大学が実現できるように努力をいたしてまいります。 それでは、次の質問に移ります。 マイナンバーカードの普及と行政サービスのあり方について質問いたします。 日本は、マイナンバー制度を導入後、その普及率は、ことし4月1日時点で、全国で13%、県全体では12.5%と全国平均を下回っており、その普及率の低さが大きな課題となっております。さらに、2020年以降は、順次マイナンバーカードの有効期限が満了することから、更新しない人が出てくることも懸念をされております。 そうした中、熊本市におきましては、教職員を除く市の職員の多くがカードをつくり、率先してその普及に努めてきました。一方で、他の県内市町村におきましては、職員自身のカード取得が職員の自主性に委ねられていることもあり、県全体で見ても、まだまだ浸透し切れていないという実情だろうと思います。 今後、マイナンバーカードの使い方として検討されているのが、経済活動に活用するという消費活性化策です。また、健康保険証利用についても、協議会が設置され、整備が進められようとしております。もちろん、こうしたマイナンバーの活用に当たっては、国民の生活に役立つ機能を持たせることも、普及に向けて大きな課題であると考えます。 昨年度末時点の県内市町村におけるマイナンバーカードを利用した各種証明書のコンビニ交付サービス導入状況は、9市町村で、今年度は、玉名市、大津町、菊陽町がサービス導入の予定ですので、そうなれば12市町村になります。 玉名市では、平成29年に、当時の総務省大臣官房審議官の猿渡知之氏を迎えてフォーラムが行われ、マイナンバーカードに組み込まれたICチップに入っている公的個人認証を使用し、カードを提示することで、公共施設の利用者カードや商店街での買い物に活用できるようにするシステム、マイキープラットフォーム構想について伺いました。 同年11月から、玉名市では、商店街の買い物に自治体ポイントが活用できる玉名市ポイントが始まり、市の職員や県の職員にも参加をいただいております。玉名市の職員は、ことし7月末の時点で、38%がカードを取得している状況です。玉名市役所では、タイムカードを用いて勤怠管理を行っていると伺っておりますが、職員証をマイナンバーカードと一体にしてしまえば、勤怠管理を全てパソコン上で行うことが可能になります。そうすれば、役所における職員の業務を効率化することが十分考えられます。これから社会全体で人手不足が深刻化する中、役所こそ、このマイナンバーカードの活用を通じて、業務効率化のモデルを示すことができれば、民間企業や県民にとっても波及効果が高いのではないでしょうか。 そこで質問です。 熊本県として、マイナンバーカードの普及にどのように取り組んでいくのか、また、そのために、具体的に県内の市町村に対してどういった支援に取り組んでいくのか、総務部長にお尋ねをいたします。  〔総務部長山本倫彦君登壇〕 ◎総務部長(山本倫彦君) お答え申し上げます。 マイナンバー制度は、住民の利便性向上や行政事務の効率化などを目的に導入されました。この制度の基盤となるマイナンバーカードについてですが、本年4月時点の交付率は、議員御指摘のとおり、全国で13%にとどまっているところであります。 マイナンバー制度をより有効に活用していくためには、カードの普及が肝要であり、カード普及のためには、住民が利便性を実感できる取り組みが重要です。 これまでも、市町村には、住民票等のコンビニ交付の拡大やカードを活用した行政手続の簡素化などに取り組んでいただいております。市町村には、引き続き、積極的にこうした取り組みを続けていただきたいと考えております。 また、国におきましては、カードの普及に向けまして、カードの健康保険証としての活用やカードに国費でプレミアムポイントを付与する取り組みなどを新たに進めることとされております。 県といたしましても、国や市町村と連携しまして、カードの利便性、安全性に対する理解促進を図るとともに、市町村の取り組み拡大に向けた支援に努めてまいりたいと考えております。 また、カード普及の具体的な取り組みの一つといたしまして、地方公務員等につきまして、今年度内に率先してカードを取得するよう、国全体での取り組みが進められております。 県でも、県庁内での臨時のカード申請窓口の設置なども行いながら、職員の速やかなカード取得を積極的に進めております。 また、県内市町村に対しましても、職員のカード取得を求めるとともに、取得が進んでいる他の自治体の取り組み状況につきまして、情報提供や助言を行っているところであります。 引き続き、これらの取り組みを進めてまいりますとともに、これらに加えまして、市町村が積極的な取り組みを行えるよう、今後、交付の申請増加が予想されます。こうした際の市町村の経費負担に対しまして十分な財政措置が図られるよう、全国知事会を通じまして、国へ要望も行ってまいりたいと考えております。 マイナンバーカードの普及に向けて、国の施策も加速化してまいります。県といたしましても、市町村と連携し、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 政府は、9月3日に行政のデジタル化を推進するデジタル・ガバメント閣僚会議を首相官邸で開き、消費税増税の景気下支え対策として、マイナンバーカードの取得者に対し、キャッシュレス決済のため事前入金すると、国費でポイントを上乗せすることを決めました。名称は、マイナポイントです。上乗せ率などの具体的な中身は、総務省やキャッシュレス決済事業者などでつくる官民タスクフォースで今月中に決め、来年7月以降に実施するとのことですが、政府は、令和4年までに普及率100%を目指しているようでございます。この会議の中で、カードを健康保険証のかわりに利用できるようになる令和3年3月に合わせて、交付枚数も6,000万から7,000万枚を目指すなどの工程表も決定いたしました。 最近、キャッシュレス決済が話題になっておりますが、便利な反面、悪用されるケースも報道されております。マイナンバーカードの普及におきまして、利用者の一番の不安は個人情報漏えいであることはわかっており、この制度が浸透しない大きな要因になっているようです。しかし、住民サービスにマイナンバーカードを積極的に取り入れる自治体では、普及率が5割を超えているところもあるようでございます。しっかりと制度の安全性を確保しながら、県民生活にとって有益な行政サービスのあり方を考える必要があると思います。ぜひ、制度の積極的な運用に向けて、本県の力強い取り組みをお願いしたいと思います。 それでは、次の質問に移ります。 外来植物、メリケントキンソウの駆除についてです。 外来種と聞くと、どのようなイメージを持つでしょうか。もともといなかった場所に人によって持ち込まれた生き物のことを外来種と言いますが、正しく管理すれば生活を豊かにしてくれるものもあれば、生態系に被害をもたらす外来種も多く存在します。 特に、侵略性のある外来種に関しては、導入の防止、適切な管理、防除が必要です。そのため、外来生物法では、生態系、人の生命、身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、また、及ぼすおそれのある外来生物を特定外来生物に指定しています。この特定外来生物の飼育、栽培または生きたまま移動させることは、原則できないことになっています。具体的には、船荷に紛れて侵入するおそれのあるヒアリが国内で確認された際には、大きく報道をされました。 私が本日質問するのは、南アフリカが原産地の外来植物、メリケントキンソウの駆除についてです。このメリケントキンソウは、実に2ミリほどのとげがあり、肌に刺さり、けがをするため注意が必要で、日本固有の在来植物の生息場所を奪う可能性なども指摘をされております。 メリケントキンソウは、地表に覆いかぶるように成長するキク科の植物で、繁殖力が旺盛で、一度はびこると駆除が追いつかないことが多いと言われています。そのため、定着する前に予防するほうが費用対効果が高く、環境的にも望ましいことがわかっています。玉名市内の小学校の敷地内で生息が確認され、PTAを中心に駆除作業を行ったりしたと聞いております。 糸島市では、二丈交流広場でラグビーの練習をしていた市民から、とげのある植物が生えて、ちくちくするという相談が寄せられて、調査した結果、このメリケントキンソウであることがわかったそうです。駆除する方法が確立されていないため、効果的な防除法を探ろうと、防草シートや市販のリモネン除草剤、赤クローバーの育成、食酢など、6つのパターンで実証実験を行い、効果を検証したそうです。 お隣の鹿児島では、本土と島における侵略的外来種番付表を作成し、代表的な外来種の侵入分布域と影響、今後侵入する可能性のある外来種の侵入方法などをパンフレットにまとめ、情報発信と情報収集に力を入れていると伺っております。鹿児島県では、メリケントキンソウの生息が確認された市町村を明示し、特に志布志市では、環境省の専門家を迎えて撲滅対策会議を開き、メリケントキンソウの撲滅対策マニュアルも公開しています。 そこで、このメリケントキンソウの駆除について、本県がどのように取り組んでいくのか、環境生活部長にお尋ねをいたします。  〔環境生活部長田中義人君登壇〕 ◎環境生活部長(田中義人君) 近年、さまざまな外来生物が国内に侵入してきております。これらの中には、放置しておくと、生息分布を拡大し、在来種の生息、育成を脅かすものや農林水産業に被害を及ぼすおそれがあるものがあります。このため、国が、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律に基づき、148種の動植物を特定外来生物として指定し、その一部の防除も行っております。本県では、動物12種、植物11種の計23種の生息が確認をされております。 議員御指摘のメリケントキンソウについては、特定外来生物に指定されておりませんが、小中学校の運動場や公園、芝生広場、空き地等の明るい場所において生息が確認されており、触れると、とげが刺さり、けがのおそれがございます。 県では、平成29年度に庁内関係課を初め市町村や学校等に対して、文書による注意喚起を行いました。あわせて、駆除方法や時期について、ホームページにより広く周知を図っております。 引き続き、国や市町村、関係機関と連携を図りながら、注意喚起を行うとともに、必要に応じて駆除の協力を行ってまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) メリケントキンソウは、公園や空き地、農地や校庭など、身近なところに繁殖する可能性のある外来植物です。子供たちがけがすることを防ぐのみならず、日本固有の在来植物を守り、農作物に影響を及ぼさないように引き続き対応をお願いしたいと思います。 それでは、最後の質問をさせていただきます。 農業分野における雇用労働力不足と特定技能外国人制度の活用についてお尋ねをいたします。 農林水産省の調べによりますと、49歳以下の若手新規就農者数が平成30年は1万9,290人となり、5年ぶりに2万人を割り込みました。その要因の一つとして、他産業との人材獲得競争が激化しているとの指摘がございます。 熊本県では、熊本地震後、農業の労働力不足が深刻になっていることを受けて、JA熊本中央会と農林中央金庫、県が連携して、選果場などに働き手を紹介する人材サポート事業に平成28年から取り組んでいたと伺っております。復興関連の建設・土木事業に労働力が集中し、JAでは、人手不足が深刻化しているための取り組みだったようです。地震から3年以上たちますが、実際に農家の話を聞いてみると、果樹などの場合であれば、細かな作業が多いため、繁忙期には人手が必要な反面、年間を通じた雇用は難しいという面があるようでございます。 そういった中、ことし4月から特定技能外国人制度が始まりました。私は、この制度を活用することも必要だと考えます。 日本は、昨年、スリランカと技能実習制度に関して協力覚書を交わしました。スリランカは、移民が多い国として知られております。熊本県とは民間の交流も活発で、話によりますと、宇城市の民間団体がスリランカに日本人学校を設立し、技能実習制度の活用に向けて、支援をしている取り組みがあっていると伺っております。しかし、雇用する農家の立場からすれば、外国人を年間雇用するにはまだまだハードルが高いほうが多いと言えそうです。 そこで質問です。 まず、外国人材以外の分野で、現在県が農協と進めている労働力不足解消の取り組みはどうしているのでしょうか。さらに、人材獲得競争が激化する中で、特定技能外国人制度の活用に向けての農業分野における本県の取り組みを農林水産部長にお尋ねを申し上げます。  〔農林水産部長福島誠治君登壇〕 ◎農林水産部長(福島誠治君) まず、農業分野の労働力不足解消の取り組みについてお答えします。 本県農業における労働力不足は、熊本地震後、深刻な状況が続いており、中でも、選果場については、夜間に農協職員や農家みずからが作業員として勤めるなど、厳しい運営がなされています。 このため、県では、農業団体と連携の上、山間部と平野部での出荷時期の違いを活用し、あいている選果場への収穫物の移送を進め、ピーク時の作業量を削減することができました。さらに、トマト選果場で、トヨタ自動車の取り組みとして有名なカイゼンの実証を行い、作業員の配置の変更などにより、作業時間の短縮につなげました。 また、農家における労働力不足対策として、子育て中の女性に短時間の収穫作業に従事していただくなど、これまでにない取り組みを進めているほか、農家を対象に、雇用する際の留意事項を整理した独自の冊子による研修を行うなど、労務管理能力の向上にも力を入れています。 次に、本年4月にスタートした特定技能外国人制度についてお答えします。 特定技能制度は、農作業に加え、選果場業務も対象となったことから、施設園芸が盛んな本県では、人材確保の有効な手段として期待されています。さらに、本制度は、外国人技能実習制度とは異なり、周年雇用が要件ではないため、農繁期が異なる産地間の調整を行うことで、必要な時期の労働力を確保することが可能となります。 そこで、県としては、まず外国人材の受け入れと支援の体制をしっかり整備するため、JA熊本中央会による、全国初となる県域での登録支援機関設立を働きかけ、この8月に登録が実現しました。今後は、本機関とも連携し、受け入れ地域が一体となって取り組む生活環境づくりや交流活動を支援するとともに、農業技術や知識向上など、外国人に対する人材育成も行ってまいります。 今後も、引き続き、労働力不足の解消に向け、産地の実情に応じたさまざまな対策を講じることで、熊本農業の維持発展に努めてまいります。  〔城戸淳君登壇〕 ◆(城戸淳君) 大分県では、JA全農おおいたが労働力コーディネーターになり、生産者からのさまざまな作業依頼をJAが取りまとめ、農作業受託企業と連携して、労働力を供給するという独自のプラットフォームをつくっていると聞いております。 大事なのは、この農作業受託企業の役割です。勤務時間や勤務地など、農作業のパートやアルバイトを希望する人と労働力を求める農家の条件をマッチングする機能を果たしていると伺っております。 大分の菜果野アグリという農作業受託企業は、もともと土木建築会社だったようです。工事の人割りのノウハウがあったため、農業の作業内容についても、必要な作業にかかる日数などを勉強し、知識を集積してきたことが生かされているようです。希望者は通年で毎日働ける状況をつくることで、労働力をつなぎとめる工夫も見られます。 その受託会社のおもしろいのは、消費者や学生向けの一日農業体験から、副業としてのパート、アルバイトの経験、さらにフルタイムまで、多様な就農形態を提案していることです。さらに、JA全農おおいたは、農家に宿泊する農泊やプロ農家への弟子入り、他県農業経験など、産地間の交流まで行い、一人一人に合った農業機会をマッチングしていることで、全国の注目を集めております。 熊本県は、外国人材の増加が日本で一番進んでいる県です。また、農業県でもあります。だからこそ、県内の雇用労働力不足の解消に向けて、引き続き総合的な支援をお願いしたいと思います。 本日は、以上、準備した質問を全て行うことができました。 今回は、県北地域のスポーツを通じた観光振興、人生100年時代と高齢者の健康・生きがいづくり、マイナンバーカードの普及と活用、メリケントキンソウの駆除、農業分野の雇用労働力不足の解消と特定技能外国人制度の活用の5項目について質問をさせていただきました。 少しまとまりに欠ける質問に感じたかもしれませんが、県民からいただいた御意見や市議時代の経験も踏まえて、本県にとって必要な質問をさせていただいたつもりです。 各部署の部長の方からは、真摯な御答弁をいただきました。 私は、熊本県の抱える課題にどう向き合っていくのかという面で、一つ一つの質問内容が互いに関係している部分もあったように感じております。今後も、県政のチェック機能の一端を担えるように、議員の一人として、地域の実情に寄り添いながら、情熱を持って政治活動を行ってまいります。 最後まで御清聴まことにありがとうございました。(拍手) ○議長(井手順雄君) 昼食のため、午後1時10分まで休憩いたします。  午後0時6分休憩    ――――――○――――――  午後1時10分開議 ○副議長(田代国広君) 休憩前に引き続き会議を開きます。 楠本千秋君。  〔楠本千秋君登壇〕(拍手) ◆(楠本千秋君) 皆さん、こんにちは。天草市・郡選出・自民党・楠本千秋、議長のお許しをいただきまして、5回目の質問をさせていただきます。 まことに申しわけありませんけれども、喉の調子が悪くて聞きづらいことがあると思いますけれども、どうかお許しいただきたいと思います。 質問の前に、知事に、朝からラジオ体操されてきましたか。ぜひ、しっかり健康管理をされて、この前出馬を表明されました4選に向かって頑張っていただきたいと思います。楠本も、しっかり応援させていただきますことをお約束したいと思います。どうぞよろしくお願いします。 まず、天草地域の振興策についてお尋ねをいたします。 熊本天草幹線道路の推進について。 熊本天草幹線道路は、物流や人流の円滑な移動、災害時における道路ネットワークの充実のみならず、産業・観光振興等、地域経済の発展に大きく寄与しております。島民にとっては、有事の際の孤立を防ぐ命の道とも言える極めて重要な路線で、熊本都市圏と県内主要都市を90分で結ぶ90分構想実現にも意義深いものであります。 しかし、大矢野市街地の約3キロ区間は渋滞が日常的で、﨑津集落の世界遺産登録後特にひどく、その渋滞に遭遇した観光客からは、二度と来たくないという声を聞かれ、リピーターが期待できない状況にあると言えます。 そのような中、本年1月7日の新聞記事で「大矢野区間 新年度着手へ」との見出しで「熊本天草道路 県「渋滞解消に効果」」と大きく掲載されました。正月早々のことで、天草の多くの人々の心にすばらしい夢のお年玉をいただいたものと思いました。 1月23日には、知事を先頭に、県議会議長、天草県議団4名、期成会関係首長6名を初め総勢22名で、国土交通省幹部ほか関係各課長への国道266号大矢野道路の31年度新規事業採択、国道57号宇土―三角間の31年度計画段階評価着手の要望活動がなされました。これこそ、1月7日に掲載された知事の天草への熱い思いが込められた取り組みであると感じました。 活動の成果としては、国から2回目の熊本天草地域の幹線道路網に関する検討会の開催を進めていくお話をいただき、大矢野道路の本年度新規事業採択や予算獲得につながったものと思います。知事を初め多くの皆様、関係者一同に感謝を申し上げます。 昨年、天城橋を含む三角大矢野道路が無事開通しました。また、天草市内の慢性的な渋滞対策に欠かせない本渡道路の第二瀬戸大橋も、昨年から目に見える形で整備に取り組まれております。しかしながら、天草幹線道路の供用部分は、全線70キロのうち、県施行区間の約17キロにとどまっております。 スタートラインに立った大矢野道路や工事中の本渡道路を含む熊本天草幹線道路は、冒頭申し上げたとおり、各地域への移動時間を大幅に短縮し、交流人口を拡大させるとともに、交通混雑の緩和や代替路線などとあわせて、観光や産業振興を支え、沿線地域の活性化とまちづくりの推進を図る上で大きな役割を果たす、島民にとって極めて重要な道路です。そこで、天草地域の振興に欠かせない熊本天草幹線道路の整備への思いを蒲島知事にお尋ねをいたします。 それから、国道389号下田南工区及び国道266号望薩峠工区の整備推進についてお尋ねをいたします。 まず、1つ目の国道389号は、天草下島の西海岸を走る天草観光の主要道路となっております。沿道には、下田温泉や天草西海岸サンセットラインなどの観光スポットのほかに、昨年7月に世界遺産に登録された﨑津集落があり、多くの観光客が訪れております。国道389号の重要性はますます高まっています。 しかし、下田南工区においては、未改良工区が残っており、トンネルの高さ制限のため、大型観光バスなどの通行ができない状況です。天草地域の観光振興のためには、このような隘路区間の解消が不可欠と考えます。 次に、2つ目の国道266号は、道路幅が狭い上、急カーブが連続しており、車両のすれ違いも困難な状況です。現在、県において、未改良区である望薩峠工区の改良工事を進められておりますが、この秋には、架橋部分の完成というのも伺っております。天草地域の住民にとって大変うれしいことであります。しかし、未改良区間は4キロにも及び、まだまだこれからの改良事業の進捗が大事であると考えております。 このような、天草地域の振興に欠かせない、国道389号下田南工区と国道266号望薩峠工区の進捗状況と今後の予定について、土木部長にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 熊本天草幹線道路は、県内の幹線道路ネットワークの横軸をなし、天草地域の90分構想の実現や天草地域の振興に不可欠な道路です。 昨年5月には、天城橋を含む三角大矢野道路が開通しました。その開通式の中で、熊本天草幹線道路全線の整備促進に、私が先頭に立って全力で取り組んでいくことをお約束しました。 このため、本年1月には、県議会や地元期成会の皆様とともに、この道路の一日も早い完成を国に要望してまいりました。 この結果、大矢野市街地の西側を通る大矢野道路について、今年度から新たに事業に着手することになりました。 また、宇土市上網田町から宇城市三角町までの区間については、国による計画段階評価が早くも実施されるなど、整備が着実に進んでいることを大変うれしく思います。 そして、本格的な整備段階に入った本渡道路では、現在、次々と橋脚が姿をあらわし始めており、完成が一歩一歩近づいていることを実感しています。 この道路が、将来、天草の新たなランドマークとなり、地元の皆様に愛されることを期待しています。 天草地域は、世界に誇れる自然と文化にあふれた本県の観光を牽引する代表的な観光地です。国内外から多くの観光客に訪れていただき、あわせて、この地域にお住まいの皆様に安心して暮らしていただけるよう、熊本天草幹線道路の整備をスピード感を持ってしっかりと進めてまいります。  〔土木部長宮部静夫君登壇〕 ◎土木部長(宮部静夫君) 議員お尋ねの国道389号及び国道266号は、天草地域の幹線道路網を形成し、住民の生活基盤であるとともに、観光振興等に資する重要な道路と認識しております。 まず、国道389号下田南工区の整備状況についてお答えいたします。 延長約3.5キロメートルのうち、今年度までに、鬼海ヶ浦トンネルから苓北町側の宮の本地区までの約1.9キロメートルは全て完了します。 また、残る鬼海ヶ浦トンネルから河浦町側の小田床地区までの未整備区間約1.6キロメートルにつきましては、現在、橋梁下部工などの整備を進めており、さらに、延長約400メートルのトンネル工事の入札手続を現在行っているところです。 観光地天草の魅力を高め、今後のさらなる観光需要に対応するため、この橋梁やトンネルの整備を着実に進め、一日も早い供用を目指してまいります。 次に、国道266号望薩峠工区についてお答えいたします。 天草市と上天草市をまたぐ約2.1キロメートル区間の整備に取り組んでおり、これまでに、上天草市側において、約600メートルを供用しております。 また、来月2日には、この供用区間から天草市に至る橋梁2橋を含む約430メートル区間を供用する予定です。 残る未整備区間約1.1キロメートルにつきましては、現在、橋梁下部工や道路拡幅の整備を実施しており、令和3年度の供用開始を目指し、工事を進めてまいります。 今後も引き続き、天草地域の振興に必要な幹線道路の早期完成に向け、しっかりと取り組んでまいります。  〔楠本千秋君登壇〕 ◆(楠本千秋君) 知事と土木部長に御答弁いただきました。 知事に力強いお言葉をいただきました。お言葉どおり先頭に立っていただいたこと、まことに感謝申し上げます。 そこで、お願いなんですけれども、県担当区間では、本渡道路の第二瀬戸架橋が工事中です。この瀬戸架橋は、地元の話によると、令和4年に完成するんだというふうなお話が進んでおります。その4年後、何とか大矢野道路にそのままつないだ形で着手していただくような努力をお願いしたいと思います。 続きまして、2番目のタンデム、2人乗り自転車の公道走行についてお聞きします。 自転車活用推進法が制定され、昨年、自転車活用推進計画も閣議決定されております。目標は「自転車交通の役割拡大による良好な都市環境の形成」「サイクルスポーツの振興等による活力ある健康長寿社会の実現」「サイクルツーリズムの推進による観光立国の実現」などです。 その流れを受け、本年、天草地域サイクルツーリズム推進協議会が、超党派の国会議員でつくる自転車活用推進議員連盟の金子衆議院議員を迎え、発足、第1回協議会総会が開催されております。 自転車活用推進計画には「障害の有無にかかわらず、自転車の多様性も踏まえ、誰もが安全に自転車を楽しめるよう、走行環境の在り方等について検討する。」「タンデム自転車について、各地域の道路交通環境等を踏まえ、安全性が確保される場合には公道走行について検討する」とあります。 目の不自由な人や親子など、幅広い層で楽しめる2人乗り自転車タンデム、視覚障害者の移動手段としてだけではなく、観光客誘致やスポーツ振興などへの期待も大きく、加速的に注目を集めております。 タンデム自転車が全国に先駆けて認められたのは、軽井沢などの避暑地で知られる長野県で、1978年、昭和53年です。2番目は、30年後の平成20年に、兵庫県で公道走行が可能となり、現在は、24府県で公道走行が認められております。 熊本県でのタンデム自転車の公道走行につきましては、昨年11月議会で、小山本部長にお尋ねをし、公道全般での走行の可能性について、大変前向きなお答えをいただいております。 そこで、今どのような取り組み状況なのか、どのように対応されるのか、警察本部長にお尋ねいたします。  〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌君) 県警察では、タンデム自転車の公道走行を可能とする方向で検討を進めてまいりました。 具体的には、タンデム自転車に関して、県内自治体及び関係機関を対象としたアンケート調査や公道走行が可能な府県に対する交通事故発生状況等に関する調査を行いました。 また、警察官及び視覚障害者の方を対象とした走行実験会の開催などにより、意見の集約やタンデム自転車の特性の確認等を行い、県道路交通規則の改正案を取りまとめ、現在、パブリックコメントにおいて意見募集を行っているところでございます。 今後、その結果を踏まえ、総合的に判断して、タンデム自転車の公道走行に特段の支障がないと認められる場合には、今年度中の施行を目指してまいります。  〔楠本千秋君登壇〕 ◆(楠本千秋君) 本部長に御答弁いただきました。 すばらしい御答弁で、また、取り組みも、県内自治体へのアンケートであるとか、他府県への安全確認、障害者を対象とした走行実験まで開催されております。そして、今パブリックコメントの手続中ということです。本当にありがとうございます。一日も早い公道解禁をお願いしたいと思います。 ちなみに、来年開催される東京五輪・パラリンピックの自転車競技の中には、タンデムスプリントという競技が開催されます。 次、歴史公文書を後世に残す公文書館についてお尋ねをいたします。 私の出身の天草においては、市町村合併前の本渡市で、公文書の活用と保存の取り組みがスタートしております。 以前より、天草史料調査会による、庄屋に残された古文書やふすまの中張りに使われていた資料の読み取り作業を行う過程において、大変重要な歴史資料が存在することを知ることができました。 平成12年にシンポジウムが開催され、公文書の活用、保存についての提言がなされました。それまで、行政文書は、保存年限を過ぎた時点で廃棄処分されており、これを防ぐための取り組みがスタートしております。 それは、各課を巡回し、公文書移管の説明から始まり、説明がなかなか理解されないときは、鼻紙以外は捨てないでと理解を求めてきました。集められた文書は、ダンボール箱で集積され、移管受け入れ作業が行われました。 平成14年4月には、本渡市立天草アーカイブズ条例、現在の天草市立天草アーカイブズ条例の誕生を見ております。 県には、行政文書等の管理に関する条例が制定されております。熊本県の行政文書管理は、全国的に見ても先進的な対応と言われております。その取り組みは、現熊本市長の大西元県議による行政文書の管理についての質問に、知事は、条例の制定は、県民共有財産である行政文書を適正に管理する手法として、第一に検討すべきと回答され、平成23年3月23日、条例第11号として日の目を見ております。 しかし、公文書館法に定める公文書館の設置については、歴史資料として重要な公文書を保存し、閲覧に供する重要な施設であるが、財政再建の取り組み中で難しく、当面は、歴史資料として適切に保存するとともに、利用者の利便性の向上を図るための方策を検討すると述べられております。 公文書館の利点について考えますと、職員への意識改革が可能であること、文書の評価、選別の専門家の存在により、評価、選別の精度の向上、そして書庫の適切な管理、温湿度、文書の配置が挙げられます。 公文書館を持たない本県では、職員への意識改革については研修による周知徹底、歴史公文書の評価、選別基準については規則で規定、公文書の廃棄決定までのプロセスは、文書が歴史公文書の基準に適合するか否か、第三者委員会の意見を聴取した上で決定されると聞いておりますが、依然として、文書管理制度に対する職員の理解不足から、文書の誤廃棄事案が発生しております。公文書館がない中での職員の意識改革には限界があるように思われます。 職員に行われる行政文書管理制度の研修会資料には、研修の狙い、制度、条例、職員の責務と意識改革、文書分類の注意点、行政文書ファイルの管理簿や登録、誤廃棄の防止、文書廃棄の手続、適切な管理など、細かく研修内容が記されております。 研修資料によると、最近の誤廃棄事案として、平成30年度に確認された誤廃棄は、合計80冊とあります。8月31日の新聞には、正規の手続をとらずに、誤って34の行政文書ファイルを廃棄したとの報道もありました。 県において保存期間満了を迎える公文書は、1年当たり数万冊と聞いております。これだけの量を現行のプロセスで対応するには限界があると考えます。 そこで、行政文書、歴史資料を後世に残す上での公文書館の必要性について、蒲島知事にお尋ねをいたします。  〔知事蒲島郁夫君登壇〕 ◎知事(蒲島郁夫君) 私は、公文書を後世に残すことは、誰よりも重要なことと考えております。本県では、公文書を通して、現在及び後世の県民に対する説明責任を果たせるよう、私の1期目である平成23年3月に条例を制定し、歴史資料として重要な公文書を残す制度を構築しました。 この条例に基づき、政令指定都市、川辺川ダム、水俣病、荒瀬ダム及び熊本地震に関連する文書などを歴史公文書に指定して、後世に残す取り組みを進めています。 現在、本県では、公文書館は設置しておりませんが、県庁本館地下2階の専用書庫で歴史公文書を保管するとともに、一般住民の閲覧も可能としています。また、今後整備予定の防災センター内にも、熊本地震に関する公文書の保管庫を確保する予定であります。 公文書館の設置については、現在、熊本地震からの復旧、復興を最優先で進めているところでもあり、新たな設置の検討までは至っておりません。当面、利便性の向上を図るなど、現在の機能の充実に取り組んでまいります。 なお、今回、議員から、現行の行政文書管理制度に対して、2点の御指摘をいただきました。 まず、1点目の公文書の誤廃棄については、保存文書と廃棄文書の混在や職員の文書管理制度に対する理解不足により発生しているものと考えています。今後、発生を防止するために、廃棄予定文書の管理方法の見直しや職員の意識啓発に努めてまいります。 2点目の公文書廃棄の適否を判断する現行のプロセスについても、透明性、公開性を確保しながら、大量の文書を適切にチェックできるよう、今後必要な見直しを行ってまいります。 私は、公文書は県民共有の知的資源であり、その適正な管理は民主主義の基本と考えています。こうした考えのもと、しっかりと公文書管理に努めてまいります。  〔楠本千秋君登壇〕 ◆(楠本千秋君) 知事に御答弁いただきました。 冒頭申したように、間違いなく、熊本県の文書管理はすばらしいものであると評価したいと思います。 ただ、知事もおっしゃいましたように、職員の意識改革、これが一番、誤廃棄にしても何にしても、この意識改革が重要であると思いますので、何とかその辺のことを十分研修していただきますようにお願いしたいと思います。 この8月、この文書管理のことを調べている中で、新聞に、いっぱいこういう情報が載りました。例えば、8月5日には「熊本地震デジタルアーカイブ」という見出しで資料収集が載っていました。 そして、8月7日の熊日新聞だったと思いますけれども、江戸時代に行われた名古屋城の公儀普請の細川家の普請14カ条というのを解読したというふうなのがありました。それは、御法度の様子は、万事幕府の普請奉行に聞いて家中に知らせること、名古屋への道中の宿賃は済ませて通行すること、道中の上がり下がりは、一団一団そろって往還、背けば成敗、他の家中とのけんかは絶対禁止、家中のけんかは双方成敗、小屋での宴会は禁止、酒も過ぎないように、よその風呂には入るな、禁止、相撲をとることその他の見物は禁止、背けば成敗などと、そういう文書です。これは、細川家の家老、県で言うと総務部長から名古屋の普請奉行に宛てた手紙であります。 今度は逆に、普請奉行から家中に返された手紙もあります。これは、慶長15年の4月18日、細川家の普請奉行から家老に宛てた報告書です。天守の石垣は、加藤清正が1人で担当、本丸と二の丸の石垣づくりを割り当てられた7人の中の一人に細川忠興はおります。ところが、各大名の石垣の高さが違い、15センチ~18センチ違うために、石垣を積み直すことになりました。その中で、うちは多く直す部類と書き添えてあったと解読されております。 同じ8月7日には「憲法裁判記録の廃棄」ということで、憲法解釈が争われた戦後の重要な民事裁判の記録が多数廃棄されましたということです。代表的な憲法判例集に掲載された137件のうち、廃棄が118件、保存は18件、不明1件というふうな新聞記事もありました。 今の文書、50年、100年、200年たつと、間違いなく古文書になるわけです。何とかしっかり保存する道をつくっていただきたいと思います。よろしくお願いします。 それでは、4番目の質問、救急救命・心肺蘇生、AED。 県内におけるAED対応等に係る新たな課題についてお尋ねをいたします。 平成27年9月議会で、総務部長に、県内のAED設置状況や傷病者等への対応について、教育長には、先生たちへの講習状況と子供たちへの心肺蘇生法や救急法について質問を行いました。29年11月議会でも、30年の11月議会においても、教育長に、子供たちへの対応をお願いして質問をいたしております。 AEDに携わって12年になります。学校、公共機関等への配置の取り組みから、AEDを使った救命講習会の開催、AEDがあるのに使われず亡くなった事例や使用することをためらう人が半数以上であることを知りました。 平成30年版の心原性心肺機能停止傷病者数は、全国で12万7,018名です。そのうち、目撃された数は2万5,538人、心肺蘇生を実施されたのは1万4,448人です。そして、社会復帰された人は1,724名、11.9%であります。1,260名の方が、その中でAEDを使われております。社会復帰された方は576名、45.7%という高い救命状況が報告されております。 県内の救命状況は、目撃された人は395人、うち219名の方が心肺蘇生を実施され、社会復帰者は24人、11%です。AEDは11人に使用され、社会復帰者は5名、45.5%であります。 県内のAEDは6,205台が登録されており、そのうち3,377台の情報が通信指令システムに登録され、救助活動に活用されております。 全国での応急手当て受講者数は、平成29年度中443万人と言われます。県内では約8万人の方が受講されております。 このように、AEDに携わってから、救急救命技術の普及、AEDの設置や活用に向けた取り組みは着実に進んでいると感じます。しかし、その一方で、新たな課題も生じております。 一般市民による応急手当ての実施数は年々ふえていて、その際に、救命措置を行う行わないにかかわらず、救命現場に遭遇した人にとって、大きなストレスになることがあると言われます。 救命者が感じやすいストレスとして、茫然として何も手につかない、当時の場面が突然思い浮かぶフラッシュバック、眠れない、必要以上に助けることができなかったことや助けようとしなかったことを悔やむなどが報告されております。 このように、突然の心肺停止の現場に遭遇された人たちのストレス反応についての対応についてお尋ねをいたします。 それから、前回お話をしましたが、救急現場において、駆けつけた救急隊員の蘇生などの救急措置を拒否するケースがあるという問題についてお話をしました。これについて、国においてどのように協議がなされているのか。 以上2点について、総務部長にお尋ねをいたします。  〔総務部長山本倫彦君登壇〕 ◎総務部長(山本倫彦君) お答え申し上げます。 まず、救急現場に遭遇された人たちのストレス反応の対応についてお答えいたします。 救急現場では、救命措置にかかわった人に、自分の行動が正しかったのかという葛藤などから、精神的ストレスが発生する可能性があると言われております。 市民等による救命措置を普及、定着させるに当たりましては、こうしたストレスに対応し、精神的にサポートしていくことが重要であります。 この課題に対しまして、国から明確な対応策は示されていないのが現状ではありますけれども、救急医療の専門家からは、精神的負担軽減に有効であると報告されている取り組みがございます。サンキューカードと言われる取り組みであります。これは、救命措置を行っていただいたことに感謝をし、その行動を肯定するとともに、心のケアの相談窓口をお知らせする取り組みであります。 現在、県内におきましても、12消防本部のうち、5つの消防本部で既に導入がなされており、また、2つの消防本部において導入が予定されております。 県といたしましては、未導入の消防本部に対しまして働きかけを行いまして、この取り組みがさらに普及するように取り組んでまいります。 次に、救急現場の蘇生拒否問題に関する国の動きについてお答えいたします。 傷病者の意思と救命という救急活動の原則とのはざまで、現場の救急隊員が苦慮する状況がございます。現場の消防本部から統一的な方針を求める声が全国的に上がっているところでございます。 この問題に対しまして、総務省消防庁では、昨年度から、傷病者の意思に沿った救急現場での心肺蘇生に関する検討部会、この部会を設置いたしまして、議論が行われてきております。 この議論の結果、本年7月に報告書が出されております。その中では、各地域での具体的な事案を集めて実態を検証する必要があること、国民の意見や人生の最終段階における医療、ケアに関する取り組み状況等を見きわめる必要があること、そうしたことなどから、将来的に救急隊の対応の標準的な手順等について検討を進めていくべきとされておりまして、現在のところ、統一的な基準が示されるまでには至っていないという現状でございます。 県といたしましては、今後も国の動きを注視するとともに、まずは、医療関係者と連携した事例検討会を通じて実態を把握してまいりたいと考えております。  〔楠本千秋君登壇〕 ◆(楠本千秋君) 総務部長に答弁いただきました。 ストレスケア、サンキューカードを使ったそういう取り組みをされておるということですから、ぜひそういう取り組みを県内に広めてもらいたいと思います。 それから、蘇生拒否問題については、まだ統一的な対応はなされていないみたいですけれども、何であろうと、救急現場に駆けつけた救命士は、やはり救命の行動をとるのが当たり前だというふうに考えます。 勇気ある行動をとった人がストレスに苦しむことがないような社会、救命措置の結果ではなく、現場で人を助けようとする行動、勇気をたたえる社会が大切です。AEDと心肺蘇生の普及を通じて、救い得る命を救える社会の実現を目指していかなければなりません。 ここで、ひとつ、ちょっと長くなりますけれども、勇気ある行動というのを紹介したいと思います。 これは、昨年、30年の9月、テレビで放映されております。千葉の消防学校の卒業式がありました。そこに的場浩一郎君という人がスポットを当てられております。彼は、中学3年のとき、山口県の萩の住まいなんですけれども、萩の駅伝大会に出ております。そして、その駅伝大会で救命を行うような心肺停止の患者が出たと。そこには、たまたまドクターがいて心肺蘇生の行動をとっていたそうですけれども、彼は走っていってAEDを持参してその現場に渡して、そして、その男性は一命を取りとめたと。 そして、その彼のテレビインタビューで、僕は3年生になったときに学校で救急法の勉強を受けましたと、そのときに知ったことがあります、それは、桐田明日香さんという方が、同じ駅伝の練習中に学校で倒れて――さいたま市の小学校6年生です。女の子。保健室に運ばれておるんですけれども、救急車が来るまで11分かかったそうです。その間、保健室にはAEDがあったんですけれども、使われなかったと。そして、病院に運ばれたけれども、助からなかったという事例を彼は見たんだと。だから、こういうときには絶対AEDが必要なんだというのを認識してたから僕はとってきましたと。そして、こういうのにめぐり合って、僕は、将来命を救う、守る仕事に進みたいというのをメッセージに残しております。 そして、それが3年半後の千葉の消防学校での卒業式、そして、人を救うために、この制服を着ている、決して忘れないという、またメッセージを出しております。 そして、その場所には、明日香ちゃんのお母さんも同席されております。お母さんは、明日香のことを伝え、こういうことがないようなことの行動をされている。埼玉では、ASUKAモデルとして、救急に、今どこでも使われているようなことをされた報告書を出されております。 それでは、学校での心臓突然死ゼロを目指して、教育長にお尋ねをいたします。 先ほどもお話ししましたが、教育委員会には、平成27年度からこれまで3回質問をしております。そのたびに前向きなお答えをいただいており、お礼を申し上げます。 全国的に学校へのAEDの設置が進み、学校管理下において、児童生徒が心肺停止の状態から救命される事例がふえつつあります。その一方で、AEDが設置してあるのにもかかわらず、適切に使われなかったことで失われた事例もあります。 学校内で起こった心肺停止、97%が児童生徒から目撃されております。周りにいる救助者は、大人だけではなく、若い子供たちも救助者になります。 報告によると、県内では、平成22年度以降4件の使用例が報告されております。前回もお話ししましたが、平成27年9月30日に、文部科学大臣に、学校での心肺蘇生教育の普及並びに突然死ゼロを目指した提言が日本臨床救急医学会、日本循環器学会の連名でなされたとお話ししました。その流れを受けて、文科省では、中学校の学習指導要領、29年3月に、高等学校の指導要領が平成30年に改訂されております。 高等学校の例を挙げると、心肺停止状態においては、急速に回復の可能性が失われつつあり、速やかな気道確保、人工呼吸、胸骨圧迫、AED使用などが必要であること及びその方法や手順について、実習を通じて理解し、AEDなどを用いて心肺蘇生ができるようにとあります。 これまで、教育長には、全国に先駆けて、子供たちが就学期間に継続した体験学習を受けられるように取り組んでいただきたい、立派な社会人として送り出してくださるようお願いをしてきました。 今回も、議会の準備をする中で、先ほどお話ししたように、いろいろな事柄や問題を知り、子供たちに継続してAEDを含む心肺蘇生法の体験学習を実施するためにはどうしたらよいか考えてみました。それは、1つ、時間の確保、2、教習用教材の確保、3、指導者の育成の3点があると考えます。これを解決すると、現場では、現状から一歩前に進めることができるのではないかと考えております。 まず、時間の確保については、保健体育の時間の充実に加え、保健体育の授業以外の時間に心肺蘇生法に触れる時間が確保できないかと考えております。保健の授業で学んだことを忘れないためにも、繰り返し心肺蘇生法に触れることが大切です。 練習用教具の確保については、現在、簡易型蘇生人形やAEDトレーナー等の安価な教具があります。このような練習用教具を最低1クラス分そろえることにより、心肺蘇生法に触れる機会がふえると考えられます。(資料を示す) こんな簡単なやつです。これは、いいことは、安いことと、正確に押すと音が出るんです。普通の人体人形では、何ぼ押しても音は出ません。これは音が出る。子供たちには、確実に、あ、これだけ押したらいいんだなということがわかります。ここで押したら音が出るので、だめだと言われました。 次の3番目の指導者の育成については、保健体育の教員の指導力向上を初め、子供たちが短時間で繰り返し心肺蘇生法に触れることができるよう、学校の全ての教員が心肺蘇生法の知識と技能を身につけ、いつでもどこでも指導できるよう指導力を身につけることが大切です。 そのほかにも、一般財団法人日本AED財団より、小学生に心肺蘇生、AEDを指導する際に役立つ副読本の無償提供もあると聞いています。このような教材の活用も大切です。 学校での心臓突然死ゼロを目指し、子供たちが心肺蘇生法に触れる機会がふえるよう、心肺蘇生法の実習にかかる時間や教具の確保及び指導者の育成、3点について、現状を踏まえ、どのように取り組まれるのか、教育長にお尋ねします。  〔教育長古閑陽一君登壇〕 ◎教育長(古閑陽一君) 中学校と高等学校の学習指導要領が平成29年度と30年度にそれぞれ改訂され、AEDを含む心肺蘇生法の学習内容の変更がありました。例えば、高等学校では、AEDなどを用いて心肺蘇生法ができるようにすることなどが示されております。 このようなことを踏まえ、学校でのAEDを含む心肺蘇生法の実習に係る現状と今後の取り組みについてお答えをいたします。 まず、1点目の時間の確保については、中学校と高等学校の保健の授業の中で、AEDを含む心肺蘇生法について、必ず学習を行っております。また、一部の学校では、防災訓練やプールの開放時のPTA研修の中で体験するなど、工夫した取り組みも行われております。 今後も、このような授業や各学校の取り組みを通じて、心肺蘇生法を学ぶ機会が十分に確保できるよう、研修会等を通じて各学校に周知してまいります。 2点目の練習用教具の確保につきましては、胸骨圧迫や人工呼吸の練習用教具を備えている中学校及び高等学校が64%、AEDの練習用教具については11%となっております。多くの学校では、心肺蘇生法の実習を消防署等と連携して実施しており、その際、必要な練習用教具を借用しております。 議員御提案の安価で簡易的な練習用教具につきましては、各学校へ情報提供を行っていくなど、今後も、必要な練習用教具等の資材の確保、充実に努めてまいります。 3点目の指導者の育成につきましては、心肺蘇生法の授業を担当する保健体育の教員に対し、新学習指導要領に対応するため、実習の充実や指導力向上を図る研修を実施しているところであります。 さらに、指導者以外の教職員に対しても、学校での心臓突然死ゼロを目指すために、全ての学校において心肺蘇生法を身につけるための研修を実施しており、今後、さらなる研修内容の充実を図ってまいります。  〔楠本千秋君登壇〕 ◆(楠本千秋君) 教育長に御答弁いただきました。毎回毎回の質問に、丁寧に、そして前向きに対応していただき、感謝申し上げます。 あと少しで熊本から旅立つ子供たちは、いろんな場面に遭遇しても、勇気を持って対応できる社会人として巣立つものと思います。そのためにも、継続した取り組みを何とか県内で取り組まれるよう、ひとつお願い申し上げたいと思います。 予算的なことについても何とか御支援いただきたいと思います。これを例に出していいのかわかりませんけれども、昨年、ブロック塀の倒壊によって、悲しい事件がありました。それに応じて、全国で素早くブロック塀の撤去があり、熊本県では、約16億円が使われて撤去と撤収が行われております。億という単位は要らないと思いますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。 次の5番目の質問、誰もが投票しやすい環境整備についてお尋ねをいたします。 本年は、4月の統一地方選挙、7月の参議院選挙と実施されました。熊本県においては、参議院選挙、熊本県会議員選挙、両方とも初めて50%を割ったという結果を私たちは重く捉え、誰もが投票に足を運んでいただく、投票しやすい環境整備に取り組む必要があると思います。 6月議会で、西議員の選挙の投票率向上についての質問があり、投票率低下がもたらす民主主義政治の影響について、知事は、人々は、政治に参加することで、政治に関心を持ち、政治的決定に帰属感を持ち、よりすぐれた民主的な資質を持った市民になる、投票率の低下は、大変懸念していると答えられております。 私の今回の質問は、投票に行きたくても、何らかの事情で投票に行けない人たちの救済についてお尋ねをいたします。 人口減少などの影響で、県下各地区の投票所が削減され、遠くの投票所に行かなければならない人たちや公共交通機関が少ない中山間地では、車を持たない人、運転できない人などの高齢の有権者も多く、投票機会の確保と投票しやすい環境整備を整えることが重要課題であると考えます。 4月の県議選の最中、ある山間部の集落でのことで、その地域は、投票所が廃止されているところで、地元の選挙管理委員会に確認したら、期日前投票所が、期日、時間指定の対応で開設したとお話がありました。そして、この市では、天草市ですけれども、全体で13カ所で対応されたと報告をいただきました。 県選挙管理委員会によると、県下では、ワゴン車による移動式の期日前投票所で対応している地域もあるとのことです。 そこで、近くに投票所がない、あっても遠くて移動手段がないなどの、行きたくても行けない人たちに、タクシーでの送迎や車の中でできる移動式の投票所などの救済対応が、期日前投票や当日投票について、市区町村選挙管理委員会においてできないのか、また、国や県の支援はどこまであるのか、選挙管理委員会委員長にお尋ねをいたします。  〔選挙管理委員会委員長松永榮治君登壇〕 ◎選挙管理委員会委員長(松永榮治君) 投票環境向上の取り組みについてお答えします。 選挙は、民主主義の基盤であり、政治参加の大切な機会です。投票率が低下傾向にある中、投票しやすい環境の整備は、ますます重要なものになっております。 特に、投票所に行くことが困難な高齢者等の投票機会の確保は大変重要であり、県内においても、市区町村の状況に応じた取り組みが行われています。 例えば、投票日当日や期日前において、巡回バスやジャンボタクシーによる投票所への送迎実施をしている市区町村があります。また、公職選挙法上、投票日当日の投票所は、原則、午前7時から午後8時まで開設する必要がありますが、期日前投票においては、ワゴン車等による巡回式で、時間を区切った投票所を設置するなどの取り組みが行われています。 国政選挙及び県議会議員選挙等においては、こうした取り組みを行う場合の費用は、国または県が負担することになっております。県選挙管理委員会といたしましては、こうした費用面の取り扱いや全国の先進事例等について、市区町村選挙管理委員会にしっかりと周知を図り、さらなる投票環境の向上に取り組んでまいります。  〔楠本千秋君登壇〕 ◆(楠本千秋君) 選挙管理委員会委員長に御答弁いただきました。 期日前投票については、いろいろと有権者に手厚いサービス、巡回式投票所や送迎が可能ということ、それにかかる経費も、国または県の負担があるということですので、どうか市区町村の選挙管理委員会にも周知いただいて、そういう対応を進めさせていただきたいと思います。 ただ、当日投票については、法律的なものだと思うんですけれども、無理だということですけれども、でも、送迎等は可能だと思いますので、投票機会の確保や投票しやすい環境に努めていただきますよう重ねてお願いを申し上げます。 最後の質問、これは要望をさせていただきたいと思います。 畜産振興、牛白血病清浄化、全国共進会について要望させていただきます。 昨年11月議会で、牛白血病の清浄化に向けた取り組みについて、農林水産部長にお尋ねをしました。部長からは、毎年800頭のサンプリング調査を3,000頭に拡大し、感染状況の実態把握の加速化に努めると前向きな答弁をいただきました。 農林水産省では、牛白血病を平成10年に届け出伝染病に指定、農場内での感染拡大を防止するための対策、牛白血病に関する衛生対策ガイドラインが平成27年4月に出されております。 国の清浄化の事例としては、分離飼育、感染牛と感染していない牛を分けて牛舎に入れる、また、感染していない牛の導入、感染防止対策の徹底等挙げられておりますが、以上の対策には、検査、それも全頭検査が絶対必要だと思います。 天草地域では、畜産関係団体が中心となり、牛白血病の清浄化に数年前より取り組んでおります。ことし7月の競りより、出荷雌牛の陰性牛表示の実施や、3年間継続陰性牛農家については、令和2年の5月競りから清浄農家の表示を予定されると聞いております。 県のサンプリング調査は、今後も広範囲で継続実施され、県内全域における正確な浸潤状況を把握された後、その情報を各地域の生産者や畜産関係団体と共有することで、清浄化に取り組む農家を今以上にふやすとともに、本年度からは、県は、独自に大学と連携して、牛白血病の感染や発病リスクを低減するため、検査手法の解明など、より高度な取り組みに着手していると聞いております。 しかし、感染は年々増加している傾向にあることから、県内生産者の所得向上のためにも、牛白血病の清浄化に今後も継続して取り組んでいただくことを要望いたします。 それから、3年後、2022年の鹿児島で開催される全国共進会、牛のオリンピックも、来年あたりが全部門出品のために重要な時期ではないかと考えます。どうか県を挙げて全部門出品に取り組んでいただきますよう重ねて強く要望いたします。 以上、予定しました質問も終わりました。執行部より前向きな回答をいただき、感謝申し上げます。 天草の課題も、楠本の取り組む課題も、あすより気持ちも新たに準備にかかり、次回の質問につなげたいと思います。 この秋、熊本では、ラグビーワールドカップ、女子ハンドボール世界選手権が開催されます。無事盛会に開催されますことを祈念し、楠本の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(田代国広君) 以上で本日の一般質問は終了いたしました。 明13日は、午前10時から会議を開きます。 日程は、議席に配付の議事日程第6号のとおりといたします。 本日は、これをもって散会いたします。  午後2時6分散会...